LV1「獅子女の大壺」・5
「ふぉんまに入ってたんふぁ、ひゃったやないふぁ」
顔面が腫れまくって、もはや原型を
「自業自得といっても……さすがに、やりすぎなんじゃない?」
「平気、平気。ダンジョンから出れば、ミッション中の怪我とかも元通りになるから。これぐらい、お
俺の問いに対して七海さんが、やってやったとばかりに手の
そもそも、俺の私物のTシャツなのだけど。
手に入れた『
「それにしても、ニッチな
「そうねぇ。格闘技の選手が、どうしても負けた相手にダイレクト・リマッチしたい時に使うとか?それもそれで、状況は限られるか」
「ですね……でもまぁ、レベル1の秘宝やったら、そんなもんなんですかね〜。普通は」
確かに、使い道の難しい秘宝ではある。普通に生きてて、誰かに何かの勝負を挑む機会など、そうそうないからだ。あるとしたら、友達にゲーム勝負を持ちかけるくらいだが、別に断られても問題ない。
「とにかく、目的の物は手に入ったんやし、帰りましょ。出口も、現れたみたいやで?」
来た時と同じような透明のゲートが出現した場所を指差し、京極さんが言う。
「そうね。みんな、帰還しましょう!各自、忘れ物のないように!!」
まるで遠足の引率ばりに、ミナミ先生が号令をかけると、各々が手放していた武器などを回収して回る。俺も、ビート板としてお世話になった大きなまな板を拾い上げて、礼と共に西郷くんへと返却した。
そして、俺たちは無事にダンジョンをクリアして元の世界へと帰還した……のだったが。
「そろそろ、戻ってくる頃だと思ってましたよ。石火矢副団長」
白色の長髪を一本の下げ髪おさげで
「白浜ロウキ……待ち伏せしていたの!?」
先生の口調からすると、知ってる人物のようだが、敵対していることは明らかだった。
誰なのか聞く状況でもないので、自らのスキルを使って調べてみることにする。
【虚飾】が、【鑑定】rank100に代わりました
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18歳(男)日本出身
「漆黒の鎌」所属 C級冒険者
身体能力 B+
スキル
【近接戦闘(少林拳)】rank72
【回避】rank66
【目星】rank55
【跳躍】rank52
【手さばき】rank48
【近接戦闘(槍)】rank46
ユニークスキル【白虎】rank ー
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『漆黒の鎌』!?そうか、団長派の冒険者たちか。
どうりで、今まで襲ってきた連中と何か毛色が違うなと思っていたら、これで
一歩でも、おかしな動きをすれば、攻撃されるような状況に、七海さんが先生へと謝罪する。
「すみません……多分、私のせいです。レベル6に挑まされた際に、GPSを付けられていたんです。この事態は、想定できたはずなのに」
「いいえ、私のせいよ。もっと、慎重に段取りを踏むべきだった……副団長として、情けないわ」
落ち込む二人を見て、ニヤニヤと笑みを浮かべながら白浜が話し始めた。
「反省会は、あとでゆっくりとどうぞ。七海アスカ、団長が会いたがっている。本部まで、来てもらおうか?」
「ふん。行かないと言っても、無理矢理にでも連れて行くつもりなんでしょ?」
「その通り。あとは、京極セイラ」
不意に名前を呼ばれた京極さんは、珍しく動揺した素振りを見せる。
「ウチにも、何か……用が、あるん?」
「
「それは……今でも、感謝しとる。せやけど、感謝しとるのは、あの頃の団長や。今の団長は、ウチの尊敬していた団長やない。アンタも、薄々気付いとるやろ?」
「俺が、惚れ込んでいるのは団長の圧倒的な“力”だ!性格なんて、どうでもいいんだよ。どうやら、価値観が違うらしい。四天王は決裂か……残念だよ。京極」
「……っ!!」
「知らん顔もいるが、残りの
白浜の命令に応じて、部下と思われる冒険者たちが一斉に武器を構えた。
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