白のゲート・5
ゴウッ!!
耳元を
プレッシャーといい、スピードといい、同じような戦況とはいえ、あの時の
しかし、こちらも“あの時”とは違う。
その全ての攻撃を回避しながら、最短の動作でカウンターの打突を、マーキングされたザガンの各急所へ的確に当てていく。その一撃一撃は重さこそないが、じわじわと内部にダメージを残す
『グランドマスター・モード』の時のみ発動できる、確定反撃の攻防一体技・自身で“
傭兵との戦いでの反省を生かして、開発しておいた新技である。
トン!トン!トン!
「確かに、眼は良いようだ。しかし、攻撃がニンゲンの
今まで、話し相手がいなかったんだろうなぁ。もっと口数が少なければ威厳も上がるんだが、せっかく強いのに
しかし、これまでもう何十発と当てているのに、確かに全くダメージを負ってる気配が無い。内部破壊の技は効果が出るのが遅いというのは知っているが、それにしては遅すぎる。
まさか、コイツの【自己再生】は、外傷だけでなく内部の損傷までも治癒させてしまうのだろうか?だとすれば、この攻撃は全て無駄に終わってしまう。
「効かぬとはいえ、一方的に殴られ続けるのも
シュンッ!
一瞬、完全に目の前から姿を消したザガン。
警戒していたが、ついに来たか……奴の特性【瞬間移動】!!
ビイイイッ!!
後方、宙にテレポートしたザガンが指先からビームを放ち、それを俺は間一髪、自動回避で難を逃れる。
シュンッ!
すると今度は、真横に出現して波動の拳を打ってくる神出鬼没の魔王。それも何とか回避して、カウンターの浸透勁を当てることに成功した。
攻撃した瞬間は、さすがに【瞬間移動】は出来ないらしい。ただ、今のように中距離射撃を交えてこられると、単純にこちらの反撃チャンスが減ってしまう。ただでさえ効いてるか微妙な攻撃なのに、回数まで減らされたら、それこそ致命傷にはならないだろう。
しかし、今、俺にできることは愚直に奴が接近戦に来てくれる機会を待つ他は無かった。
それからも、【瞬間移動】を駆使しながら【光線】や【念動】で
ことごとく俺にカウンターを当てられているのにも関わらず、必ず近接戦を挟んでくるのは、ヤツの王としてのプライドなのかもしれない。そのプライドのおかげで、ワンサイドゲームになることだけは避けられた。
今まで無傷で回避し続けられてはいるが、決して余裕なわけではない。なにせ、俺は紙の防御力だ。
こんな怪物の攻撃、一撃でもまともに喰らってしまえば、即戦闘不能状態に
俺にとっては「攻撃に当たる」=「ゲームオーバー」なのだから、それは否が応でも緊張感は増すというもの。
しかし、このままでは俺の『グランドマスター・モード』が時間切れになってしまう。避けられても、攻撃手段が無くなれば、それもまたゲームオーバーだ。
……焦りを感じていたのは、敵もまた同じだった。
「ちょこまかと……もう、よい。貴様と遊ぶのも、もう飽きた。そろそろ、幕を下ろしてやろう」
シュンッ!!
敵が【瞬間移動】したのは、今までよりも遠い間合い……そこで、奴が両の掌を向かい合わせると、その手の中心に波動の球体が生成されていく。
「はああああああっ!!」
ザガンが力を入れて叫ぶと、その球体がどんどんと大きく
ヤバい……何か、大技を仕掛けてくる気だ!
広範囲を焼き払うような威力だとするなら、自動回避など意味は成さない。発動させる前に、止めるしかない!!
慌てて、俺がヤツに近付こうと走り出した、その時……!
ビカッ!!!
ザガンの瞳と思われる顔の部分の一部が妖しい真紅の色に輝くと、それを見た俺の身体が硬直してしまった。
「くっくっく……貴様は、もう逃げられん」
体が……動かない。これも、【念動】の一種なのか?この時の為に、温存していたのか!?くそっ!
「光栄に思うがよい!ニンゲン
ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!
ダメだ……もう、打つ手が……ない……。
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