後日談・1
ネオ・アキハバラ。
ご存知、あの電脳都市が未来で進化した新名称だ。
街中を掃除するロボットや、ホバークラフトしている自転車型の乗り物、巨大な
こうして、たまに都心部に出てくると、この時代は未来なんだなぁと改めて実感する。
あの山での一件から、もう一ヶ月が経とうとしていた。結局、あの時は事情聴取こそされたものの、意外とあっさり解放され、無事に元の生活へと戻ることが出来た。あれだけの死線を一緒に
「あっ、いたいた!ユウトー!!」
待ち合わせ場所に先に到着していた俺を発見して、ぶんぶんと手を振ってくる元気印の娘っ子。
そう、テンは本当に別れた後でも、お誘いをしてくれた。てっきり、社交辞令なのかと思っていたのだが、そうではなかったようだ。
小走りでこちらに向かってくる彼女の姿を見て、改めて周囲にいる人達と比べても華がある容姿だなと実感した。調子に乗りそうなので、本人には言わないが。
「うぃっす。久しぶり」
「久しぶりー。めっちゃ、早いじゃん。そんなに楽しみだった?私たちと遊ぶの」
いちいち、
「ち、違うわ!俺は、いつも待ち合わせには早めに到着しておきたい人間なの!!」
「はははっ!ムキになっちゃって、分かりやすいねぇ〜。ユウトくんは」
完全に
……いや、こんなこと考えてる時点で、精神年齢は同じようなもんか。
「それより、ナギは?一緒に、来なかったの?」
今回は、俺・テン・ナギで遊ぶ約束だったはずだ。男女二人きりだと変な意識をしちゃいそうだが、三人ならと思って、少し安心していたのだ。
「ナギは、部活あるから。後で、合流するって」
げっ、マジか。その間、テンと二人きりってことか?まぁ、でも……ナギと二人きりになるよりは、緊張しないか。なんか、男友達っぽいし。
そんな不安そうな表情が露骨に出てしまっていたのか、またも元気少女が突っ込んできた。
「あれれ?もしかして、ナギがお目当てだったかな!?可愛いもんね〜。わかる、わかるよー」
「違うっつの!それ言ったら、テンだって可愛いだろ!?」
「は……はあ!?ちょ、急になに言い出してるわけ?」
「あ、いや!別に、深い意味は……!!」
ヤバいよ、ヤバいよ。つい、思ってることを口に出してしまった。これで、ドン引きされて解散とかになったら、トラウマレベルのやらかしだァ〜!!
「もう、調子狂うなぁ〜。ほら!ナギ来るまで、どっかで時間潰そ?」
「え、あ、うん!」
危ない、セーフ!お
てか、テンの顔が心なしか赤くなっているような……もしかして、褒められると弱いタイプ?
「えっと……じゃあ、あそこのゲーセンでも入ってよっか!」
彼女の指差した先には、ビル全階がゲームフロアになっている大型ゲームセンターが
調べてみると、200年前ぐらいに人工知能が高度になり過ぎてしまった為に機械の自我が芽生えるのを恐れて一時期、世界規模でコンピューターの開発を抑制する運動が起こったらしく、それで文化の発展が遅れたのではないか?というのが、勝手な俺の憶測である。
そんなことより、今の俺の命題は“女の子との会話を弾ませること”であった。とりあえず、無難なところから攻めていこう。
ゲーセンに向かう道すがら、隣で一緒に歩く美少女に頑張って話を切り出してみる。
「あ〜っと……ナギって、何の部活やってるの?」
「え?弓道部だよ。大体、想像つくでしょ」
「あぁ、そっか。冒険者でも、部活とかやるんだね」
「フツーに、ダンジョンでも役立つ技術が身に付いたりするしね。ランナーポジの冒険者とかは、アスリートも兼任してたりする人も少なくないよ」
なるほど。表ではアスリート、裏では冒険者!みたいな二足の
「……てかさ、ユウト」
「ん、なに?」
「服、地味じゃない?女の子と遊ぶんだから、もうちょっとオシャレしてくるとかないわけ?」
「え゛っ」
盲点だった。確かに、前世からファッションなんか気を遣ってこなかったからなぁ。今日も今日とて、動きやすさ重視の服装を選んでしまった。
とはいえ、そんなにストレートに言わなくても。
「よし、決めた!今日は、アレだけど……また、今度。ユウトの服、選んであげるよ。ナギとコーデ対決とか、面白いかも!!」
勝手に、人のコーデで対決すな!まぁ…-ズバッとモノを言うけど、悪い子じゃないんだよなぁ。さらっと、もう次に遊ぶ約束も確定してるし。
どうせだし、選んでもらうか。この時代のセンスも、よう分からんし。超奇抜なファッションの人もいれば、あんまり前世と変わり映えしないファッションの人も多い。ここは、流行に敏感そうな同年代に任せるのが最適解かもしれない。
「あ、報酬は回転寿司おごりで良いから」
……それが、真の目的か。
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