襲撃・4
簡易的に、【罰則】スキルについてナギから説明を受けた。そんなユニークスキルまで存在していたとは驚きだ。ナノチップを埋め込まれると、人間の未知なる能力が解放されるのだろうか?
何はともあれ、銃の心配は必要ないと言ったライアンさんの言葉は信用できそうだ。良かった。
「ユウト。フレンド登録して」
「えっ?今!?」
急にテンから、フレンド申請のメッセージが脳内コンピューターに送られてくる。これは、近くの人に気軽に飛ばせるメッセージで、申請が受理されると通話などが出来るようになるものだ。
こういうコミュニケーションツールは、前世も今世も変わらない。形態こそ変わっているが。
「なに、勘違いしてんの?グループ通話を、インカム代わりに使うんだよ。いざ、戦闘になったらバラバラになっちゃうだろうし、意思疎通が図れないでしょ」
「あ〜!なるほど。賢いね」
「冒険者は、みんなやってることだから。ダンジョン入る時とかね。ホント、なんも知らないよね〜」
「あぅ……すみません」
確かに、ナノチップでのグループ通話なら、ハンズフリーで情報伝達が出来る。灯台下暗しだな。
そして、二人とフレンド登録を交わす。何気に女子とのフレンド登録は初めてだ。そもそも、登録者が母親と三浦しかいないわけだが。
申請された理由はともかく、少し嬉しかった。
「それで、作戦はどうする?」
急にシリアスなトーンで聞いてくるナギに、今は危機的状況にあったことを思い出す。
「一応、聞いておきたいんだけど。二人の、得意な戦い方とかってあるの?」
スキルは確認していたので、大体の想像はつくが、知らないふりをしといた方が、
「私は、弓を使った遠距離射撃がメイン。合気道とかも護身程度には身につけてるけど、今回の相手には通用しないと思う」
「私が得意なのは、暗器を投げて攻撃する中距離戦。接近戦はナギより出来るかもだけど、スピードで
思ってた通り、ナギは
「よし。なら、
「ユウトの得意な距離は、何なの?」
「接近戦かな。ちょうど、良いじゃん。近距離、中距離、遠距離、揃ってて」
俺の話に食い気味で、
「ちょっと待った。まさか、一人で前線を張る気?銃は使えないとはいえ、相手はプロの傭兵。それも、複数人いる……無謀すぎる!」
「えっと……だ、大丈夫!実は、俺のユニークスキル。具体的には言えないけど、凄く目が良くなるスキルでさ。相手の攻撃とかも、見切れちゃうんだよね」
別に、間違いではない。だが、一から【虚飾】スキルについて説明するのも時間が掛かりそうだし、これぐらいで
「マジ?そういや……ナギにも見つからなかった敵を見つけられたのも、そういうこと?」
「そういうこと、そういうこと!信用してくれた?」
「いや、全然」
うぐっ!テンなら、すぐに
「……と、言いたいところだけど」
「へ?」
次の一手を考えていると、テンが話を続け始めた。
「ただの素人なはずなのに、何かヘンなんだよね〜。こんな状況でも私たちより冷静だったり、ここのトラップに引っ掛からなかったり、ナギより索敵が上手かったり……もしかして、ユウト」
ずいっと、こちらに顔を近付けてくるテン。間近で見ると、可愛い……いや、そんなこと考えてる場合じゃない。
「な、なに?」
「敵のスパイか!?」
どうして、そうなる!?まあ、確かに怪しむ気持ちも分からなくもないけど!
「違うわ!例え、そうであっても、ここで“はい、スパイです”なんて、答えんだろ!!」
「言われてみれば、そうだわ。尋問の仕方とか、ちゃんと習ってないんだよな〜。まだ」
冒険者って、尋問の仕方とかも習うもんなの?そっちこそ、スパイじゃん。もう。
そんな俺たちの会話に、痺れを切らせてナギが仲裁に入ってくれた。
「いつまで、漫才やってるつもり?敵は、もうすぐそこまで来てる。どうするの!?ユウトのこと、信じるの?信じないの!?」
ナギの問いかけに、しばし俺の目を見てから、テンはゆっくりと口を開いた。
「ホントは、素人は隠れてろって言いたいところだけど……いいよ。ユウトのこと、信じてあげる。その代わり、少しでも怪しい動きを見せたら、後ろから手裏剣ぶっさすかんね?」
「りょ、了解。ぶっ刺されないように、気をつけやす」
よし。後は俺が前線で、出来るだけ敵を食い止める。大丈夫だ、奴らより強い想定の幻影とは、ずっと戦ってきたじゃないか。練習通りにやれば、きっと何とかなるはずだ。
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