取り調べと、二人の刑事
警察に逮捕された二人は留置場に入れられ取り調べを受けることとなった。
警察の取り調べは48時間、その後検察に送られて、24時間以内に起訴されるかの決定がなされる。外部との連絡を取ることは出来ない。
「高山、進行状況はどうだ」
「今日の取り調べで松崎秋男は容疑を認める供述をしていますね。何故、すんなりと容疑を認めているんでしょう。変だと思いません?」
「何の容疑で逮捕されたか理解していないんだろう」
「は?」
「前に荒川弁護士に話を聞きに行ったときに聞いたんだが、荒川弁護士も松崎秋男と会ってあまりにも自信たっぷりなのに違和感を持ったそうだ。それが何かわからず須藤さんに聞いたらしい。そしたら答えが『自分がやっていることが法に触れているということを理解していないから』だったそうだ。だから検察にそのことを話して、こっちに有利な供述を引き出すように頼んだわけだ」
「須藤さんってすごい人ですね。私たちですら解らないことを教えてくれるなんて」
「松崎を逮捕した後、報告した時にお礼と一緒にそれを言ったんだよ、そしたら『私は彼らと長い時を過ごしましたから解るだけですよ』と返ってきた」
「いや、それって、物事をよく理解しているからこそ言えることでしょう」
「そうなんだ、だが、そのおかげで松崎秋男の供述がとれた。松崎千恵子の方は録音があるから取り調べの調書が取れなくても証拠は十分だし二人とも起訴されるだろう。明日もう一度取り調べて検察に送ってからの話だがな」
「そうですね。それと鑑識から柴田弘の重要書類の入ったバッグが戻ってきてました。お持ちします」高山はいったん離れてバッグを取りに行った。
「バッグをお持ちしました。それとこれが出た指紋に関する調書です」
「やはり印鑑証明書を取るカードや、実印から松崎秋男、千恵子の指紋が出たか。それに借用書の柴田綾子の欄に押してあった印鑑も見つかって、千恵子の指紋が取れている。重要な証拠だ検察に提出しないとな。バッグを返すのは検察の判断が決まってからにしよう。何がいるかわからないからな」
市原はそう言うとバッグを貴重品ロッカーに保管し鍵を掛けた。そして鑑識から報告を受けた書類を警部に見せ、確認を取って検察に持って行った。
翌日2度目の取り調べが行われ、二人は検察へと身柄を送致された。
検察は証拠を精査し、二人を起訴することに決めた。
時を同じくして、寿金融商事から出されていた『損害賠償』の請求に対しての審議も行われる。こちらも起訴が決まり、松崎秋男と松崎千恵子の裁判が行われることとなった。
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