厄介な問題

残された3人はしばらく声も出なかったが、まず道也が話し出した。

道也「借入金って、弘兄が当事者って、保証人になっていたということ?」

末子「そうゆうことよね。もう一人って誰だろう。なれない人を書いていたって、理沙さん、あなた何か知ってる?」

理沙「いいえ、借金していたことも知りませんでした」

末子「そうよね、私たちも聞いていない、じゃ、誰?」

道也「もしかしたら綾子さんじゃないか、可能性があるのは」

末子「そうだけどもう何年も前に離婚してるのよ」

道也「だからそれを隠していたら、元の柴田綾子で書いていたら夫婦として。そう考えるとつじつまが合うんじゃないか」

末子「そうね。でも今そのことを言っててもしょうがないわ。これからどうするかじゃない」

道也「そうだな、弘兄さんの世話もあるし」

理沙「私は嫌ですよ!お義母さんが旅行でいなかった時世話しましたが文句しか言わないんですから」

末子「私も嫌ね。私にとっては他人だし、文句しか言わない人の世話をする気はないわ」

道也「じゃ!どうするんだ」

末子「もうほったらかして、文句言ったらお手伝いさんを雇うように言ったら、姉たちのことで手がいっぱいだって」

道也「そうだな、俺は兄のところに行って話をしてくる、理沙さんは兄弟たちに、末子は昌子に連絡入れてくれ。出来たら綾子さんに連絡が取れるといいんだが」

末子、理沙「解った」

道也は弘のところへ、後二人はそれぞれ連絡を始めた。


道也は弘の家のチャイムを鳴らした。鍵は開いていた。ドアを開け「兄さんいる」と道也は叫んだ。

「ああ」居間から声がした。道也が居間に行くと寝転がって弘はテレビを見ていた。

道也「姉さんが逮捕された。松崎さんも」

弘「ああ、そうか」

道也「それで姉さんは兄さんの世話できなくなった。自分で何とかしてくれ」

弘「何?お前の嫁にやらせればいいだろう!」

道也「姉さんのことで警察署に行ったり色々忙しくなるんだ、それに、姉の心配より、自分の心配かよ!兄さんのことまでは手が回らない。体は動くんだ、自分でやれ!」

弘「おい待て、通帳とかも千恵子が持ってたんだぞ、金無いと何もできない」

道也「それは今警察署に行ってる。お金要るなら少し置いていくよ。じゃな」

道也は財布から数万円出すと机に置いて家を出た。後ろから何やら兄の罵倒する声が聞こえたが無視した。


千恵子の家に戻り、弘の様子を二人に伝えると二人は顔を向き合ってうなずいた。

とにかくあの弘の世話を断ってくれたことで少しはほっとした。

末子「綾子さんの連絡先だけど昌子さんがやってみるって」

道也「そうか」と話しているうちに道也に昌子から電話かかってきた。

昌子『だめね、綾子さん。メールアドレスが変わっているし、電話は掛かったけど出ないわ。ラインもやってないのか捕まらない。メッセージにも返事無し。Twitterも調べてみたけど全然ヒットしないの。本当なの姉さんたちが逮捕されたって』

道也「ああ。面倒なことになったよ。刑事はあまり詳しく教えてくれないし、面会出来たらその時に聞くしかないな」

昌子『そうなのね、私は遠くにいるから何も出来ないし、そういえば弘兄さんはどうするの?』

道也「ほっとく。体が動けるのに何もしないで文句ばかり言うやつの世話などしている場合じゃない」

昌子『そうね、大変だろうけど、お願いします。何か解ったら連絡して』

道也「解った、じゃ」

そう言って道也は電話を切った。


それから今後のことをしばらく3人で話したが、お互い自分の家庭がある。理沙が家の鍵を閉めて。その日は分かれた。







  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る