第9話 なろう転生 あるピーマンな忍者さん その9

ウチの因縁の相手、ダルマとの遭遇からの戦闘を終えて、いつもの宿の部屋に帰って来た。


最初は混乱と困惑。


次に現状認識とスキル等、実行確認。


採取をしながら、実戦を繰り返して、実力やスキルのレベルアップ。


そして今日のダルマとの一戦を振り返りながら、

「結構な日数、こっちで過ごして来た訳だけれども・・・。

やっぱり、この文化レベルので生活はしんどいな~・・・。」


と独り言がつい零れてしまった。


(一時現実への復帰をなさいますか?)


ウチの脳内に毎度お馴染みの「異世界マニュアル」からのアナウンスが響いた。


「へ?そんな事まで出来るの?!聞いてないんだけど!!」


と少し大きな声を出してしまって、慌てて自らの口を抑えた。


(ご希望であれば。こちらでの時間は停止し、現実の世界に一時帰還。現実での時間はそのまま普通に経過します。それぞれの世界での時間は干渉せず、それぞれの過ごした世界での時間だけが流れると、そう解釈してください。)

(現実からのこの世界には、基本的に現実での睡眠のタイミングで、こちらに戻るかどうかの選択を提示いたします。)


流石ご都合主義の「なんちゃって転生」、お気軽なことこの上ないな。


まぁキャンプの好きなウチではあるが、連続して一週間だの一か月だの継続してのキャンプがしたい訳ではない。


と、いう事なのでサクっと意識を「現実への一時復帰で」と念じて、久しぶりの便利な現代社会に復帰した。




うん、体を見下ろすと普通の寝巻を着て、ちゃんとベッドに横たわってる。

間違ってもピーマン姿ではない。

枕元のスマホで現在時を確認すると、異世界に行ったあの日の、ベッドに横になった時間で間違いない。


ちゃんとマニュアルが言っていた通りなことに、安堵を覚えながら体感的には十数日ぶりの柔らかいベッドでの睡眠をとることにした。


普通に目覚め、向こうの世界で過ごした事はただ夢・・・。


と、言うには鮮明なピーマンとして過ごした記憶を、しっかり思い出せる。


でも今は現実の世界でのお仕事の時間も迫ってきており、その余韻に浸ってる暇はない。

ともかく、頭を切り替えて現代でのタスクを思い出し、それに向けた準備をしていく。


その準備の最中でも、頭の片隅にはピーマンでの生活を振り返り、また夜にアバターとしてのピーマンになり、配信する際のことを考える。


果たしてあっちの世界の事を、話すべきか否か。


あのスキルやステイタス等の設定に関与した、一部のリスナーさん達にはその記憶はあるのだろか?


それがちゃんとあれば、少なくとも関与した人達からは、「抜けきらない中二病」とのレッテル貼りからは間逃れるが、そうでなかったなら・・・。


う~~ん・・・。


どう切り出すべきか、とても悩ましいなぁ、これ。





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