第8話 なろう転生 あるピーマンな忍者さん その8

冒険者ピーマンとしてデビューして、今日が10日目。


初日からほぼ同じペースで採取&害獣駆除を繰り返し、ウチ自身の能力の把握と向上に努めて来た。


昨日いつもの様に、ギルドで採取した薬草の売却と害獣駆除の証明を提出したら、


「ピーマンさんの昇格へのポイントが規定値に達しました。ランク昇格です。おめでとうございます。」


と告げられて、★一つだったカードが★二つに成って返却された。


これで「★2」新米冒険者の仲間入りを果たした。


ギルドからの評価が上がったっと言っても、まだまだ「ひよっこ」から「新米」にだから、そう変化があるわけでもない。


でもまぁ、ウチとしては一区切り付いたって感じだし、ぶっちゃけそろそろ今の狩場にも飽きてきた。


なので今日からは少し違う場世で、違う物の採取と害獣駆除に移ってみようかと思う。

目的地は・・・。


昨日ギルドでカード更新の際、横に併設されてる酒場から、聞こえてきた会話ではこの辺りだと思うんだけど・・・。


見当を付けて来た場所に到着して、目当てのモンスターを探して目視とMAPで索敵をしていると。


「居たよ。マジに・・・。絶対ウチのステータスの影響で生まれたんだよね、これって・・・。」


大きさはサッカーボール位?ベースは赤色で白色の縞模様で、顔と思われる部分は白抜きに墨で書かれた太い眉に、まん丸黒目で横一文字の口。


そう日本人なら知らない人は居ないと思われる、その懐かしささえ覚える姿。


達磨・・・。


そうウチとは切っても斬れない因縁の相手、達磨がそこには居た。




「なんだか見慣れないモンスターが最近、南東の草原エリアで確認されたんだってな?」

「あぁ聞いたな、そんな噂。モンスターってもスライムと同等程度の雑魚ではあるらしい。スライムとは逆で硬いらしいが、普通に斬撃も打撃も通るから危険度としては、まんまスライム扱いだってさ。」

「大きさとか外見の特徴とかは?」

「なんでもまん丸のボール見たいで手足は無いらしい。大きさは宿の部屋に置いてる水瓶位らしい。赤い色に白の縞模様なのが大半で、稀に緑や青色のが居るらしいが、赤色のヤツと比べて色違いはそこそこ強いらしい。」

「色違いが居て、そっちは強い。まんまスライムじみてるな。」

「攻撃手段は体当たりだけで、特殊な攻撃は確認されてないってさ。あと、スライムと同じで金になる部位は無し。換金出来るのは魔石のみで価格はスライムと同じ。」

「敢えて狙うモンスターじゃないってことだな?採取の邪魔してきたら相手するって感じか。」

「そうだな。そのモンスターが街道に出てくるって話は聞いてないし、どこかの畑や家畜を襲ったてのも聞かない。駆除依頼も討伐部位も残らないから無いし。モンスターなんてどいつも、どうしてどうやってそこに生まれたか、そこに居る意味なんて誰も知らないし判ってない。でもこのまん丸のヤツは本当にこの数日で沸いて出た感じだら、なんでだ??っては思うよな」



そんな話がウチの耳に入って来たので、狩場を変えたいって思ってたのあったし、なにより思い当たる事しかないので、確認に来たわけだが。


「どうせステータスを作ったわけだし、相手が居なきゃ意味ないからってここに設置したんだろうなぁ。無駄に仕事するなぁ、あの未確認な存在・・・。まぁ、前世?の因縁もある訳だし、ここで相手しないってのは無いわな。」


有能な鑑定スキルで確認すると(名称未確定 仮称ダルマ 討伐部位なし・採取可能部位なし。獲得アイテム 魔石のみ)っと出てきた。

ウチ以外は馴染のない新種のモンスターってことでまだ名前さえ無い模様。

うっかりウチからダルマなんて呼称しないように、注意しとかないと。


なんにしてもウチとの対決の為に生み出された存在だ。

相手しないって選択肢はないから、いざ勝負だ!ダルマ!!


って言ってもウチは忍者。しっかり気配消して忍び足で近づいて・・・。

一応顔の向きからして背後から、忍び寄って行くと、

急にクルんと振り返り、その変わるはずのない表情を心なしか「クワッ!」って感じでウチを正面に捉えた。


「え?」って驚いて一瞬動きが止まったウチに、そいつはどうやってかわからないけど、飛びあがって来てウチの自慢の軽量装甲部(一般的に言う胸)に見事!クリーンヒットして来た!!


「ゲフ!」思わず出た声。


「達磨の呪い」(ステータス) 配信時の達磨滅多斬りにより、達磨からの呪いを受けている。達磨属性モンスターへのダメージ+10% 達磨属性モンスターから受けるダメージ+20%


このダメージ20%増しの効果だろう打撃のダメージが結構痛い。

それにあの不自然な気づき方、絶対ダメージ増し以外にもウチに対する何かのパラメータ弄ってるなこれ。


いいじゃないか!ならウチもいつも通りにやってやらぁ!!


「元からダルマだから、更に切り刻んでやる!!」

そう叫びながら、クナイでは刃が短いので、先日買っていた少し長めのダガーを抜きつつ、ダルマに切りかかって行った。


過剰な程の切り刻みを受けて、ダルマはバラバラになり、暫くするとその破片はす~~っと言う感じに消え去り、あとには小さい魔石だけが残った。


「ダルマに負けるウチだと思ったか?一昨日来やがれw」っといつもの高笑いをしてると、MAPに点々と赤い〇が。


「なんだぁ?ヤルってか!上等じゃないか!?やってやら~~!」

・・・

・・・・

・・・・・


「ッ・・・ハァハァ・・・。・・・これでお終いか?流石に疲れた・・・。」

完全にリンク(アリ系統や一部群れる習性のある動物系がもつ、攻撃されると近くに居る同種の個体も寄ってくるスキル)して来た、一部3倍くらいは強い色違いも数体混じった群れをなんとか撃退した。


昨日聞いた話ではリンクについての話は出てなかったから、これもウチに対してのみの特殊対応だとは思う。

色々と言いたいこともあるが、言ったところで聞こえないか、聞こえててもなんの返事も反応もないだろうから意味もない。


ともかくダルマとの初戦に勝利し、少し疲れが残ってる体をいつもの宿に向けてウチは歩き出して行った。









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