第5話 なろう転生 あるピーマンな忍者さん その5
パチ パチ パチ パチ パチ パチ … … …
ポト。
よく見知った光景が目の前に現れて、そして消えて行った。
それは「線香花火」のような・・・じゃなくて!!!
その「線香花火」そのものが、ウチの鼻から見えない棒があるように鼻の先、延ばした腕の半分くらいの距離にその光景が広がった。
ステータスボードの「鼻息 マインスター」をもう一度見る。
さっきまでは(鼻息マインスター)としか書かれていなかったのだが、今はその後ろに説明が追加されている。
「鼻息マインスター」(「スキル」(Lv1)) ピーマンの代名詞とも言えるスキル!乙女の羞恥心を捨てたピーマンにしか発動出来ないスキル。
スキルレベルのある物に関しては、そのスキルを使用して、スキルを習熟することで効果が上昇します。自身の成長レベルとは違い、使用しない限り成長しませんので積極的に使用しましょう。
「鼻息スターマイン」(所見) 説明?ピーマンには不要だよね?ヒャッハーwちゃんと使用して、成長させましょうwww。成長したら立派な攻撃手段になる!かもw。スキルの成長限界は・・・ ひ み つ ♡
掴めないはずのステータスボードを引っ掴んで、地面に叩きつけたくなった。
誰が「乙女の羞恥心を捨てた」んだ!!
残っとるわ!!大きなお世話だ!!!
特に最後の ひ み つ ♡がもう、ウチを煽って楽しんでるそのアバターが、幻視で目の前に出てきたわ。
「ハァ~~~~~・・・・」
「鼻息スターマイン」を発動させる前より、さらに深いため息を付きながら、開いていたステータスボードを閉じようと念・・・
・・・?
なんだか「鼻息スターマイン」の説明文とステータスボードの下の枠線の間が広いような気がする。
他の項目を呼び出して見てみると、説明文が終われば、それに合わせて枠線も引かれているのに、「鼻息」の所だけが、余白がある。
これはあれかな?背景と同じ色の文字で何か書かれていて、背景の色を変更・反転させると読めるようになるヤツ?
隠しコマンドってか、隠しスキルがここに書いてある!!
そう推測して、ステータスボードの背景色を黒に変更!と心で念じてみる。
~♪ピロリロリロリン♪~
どこかの赤い帽子がトレードマークの世界一有名な配管工が、1UP!した時の効果音が脳内に響く。
そしてそれまで何も表示されてなかったステータスボードの余白に、文字が表示された。
「おめでとうございます。隠しスキルを発見!新たなスキルを獲得しました!!」
「鼻毛分身」(「スキル」(Lv1)) 某有名なマジックモンキーの技をパク…リスペクトしたスキル。鼻毛を引っこ抜き「鼻毛分身」とスキル名を呼称したのちに、その抜いた鼻毛に鼻息を吹きかける。するとピーマンの分身が!・・・ではなく、まんまピーマン(野菜のそれ)に手足が付いた、所謂ドローンっぽいものが鼻毛の数だけ出現します。スキルレベルが低いうちは大きさは普通のピーマンで、出来ることも単純なことだけです。ですが、レベルが上昇することで、サイズの変更・複雑な命令の実行も可能になります。
頑張ってレベル向上に努めてください。
「鼻毛分身」(所見) まぁパ✖リ技だねwこれも乙女の羞恥心を捨てたピーマンにはピッタリな技だと思わない?頑張ってスキルを育ててね。あと追加のお得情報!
なんとこのピーマン!ちゃんと食用です!wダンジョンで遭難、或いはどこかに監禁されて手元に食料がない!!なんて状況もこの技で無事解決。やったね♡♡♡
あ、ワシは元がピーマンの鼻毛ってわかってるので、出されてもまぁ遠慮するけどwwwヒャッハー!
_| ̄|○・・・。
もう嫌だ・・・この人のスキル・・・。
それでもなんとか、気持ちを持ち直して、これで三度目のデッカイ溜息をついてから、一応スキル確認をすることにした。
誰にもみられてないんだけど、一応鼻を左手で覆い隠しながら、それを一本だけ引っこ抜く。
「イタ」
一本でもそれなりに痛いのに、これ数本もまとめて抜けないよ?!
スキルの確認にはこれで十分なので、これでスキルを発動してみる。
「鼻毛分身」
鼻息がかかったそれが、(ポン!)と音を立てて煙を出して変化した。
足元には普通サイズのピーマンに、取ってつけた感しかない手足が付いた「それ」が居た。
試しに1メートルくらい前にある小石の所に行けと念じてみる。
(テッテケテ~)そんな脳内効果音が聞こえてくるような感じで、「それ」が走って?行った。
続けて小石を持って帰って来いと念じると、また
(テッテケテ~)って感じで小石を拾って帰って来た。
現状だと「それ」の使い道が全く思いつかないが、レベルを上げればこれがデッカくなって、もっと思いのままに動かせる?いやその前に、鼻毛が無くなってしまわないかこれ?
普通に使えないってか、人前だと使いたくもないスキルだよ、まったく・・・。
それに(ヒャッハー!さん)じゃないが、元が「それ」だと知っていて、自分でも積極的に食べたくはないわい!
マジックバッグには食料をしっかり入れておこう。
一通りのスキルの検証をしていたら、いつの間にか日が傾きだしていた。
今日のところはここまでにして、宿に戻って明日からどうすかを考えよう。
MAPを視界の片隅に表示しながらウチは、朝出て来た町の門に向かって歩きだしていった。
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