第3話 なろう転生 あるピーマンな忍者さん その3

【今回の転生はテストケースであり、被験者に不利益が生じないことを先にお約束します。被験者たる(ピーマン様)の本来の生活に問題が生じない様に、こちらの世界で何年と過ごされたとしても、こちらから離脱した際は本来の時間は経過していない物となります。


しかし、逆にこちらの世界で手にした物(物質的な物・スキルや魔術的な物全て)も、本来の世界には持ち帰れませんので、ご了承ください。経験や記憶と言った物に関しては、(ピーマン様)が全て・或いは一部の記憶を消去したいと申請されれば、対応致します。特になにも申請がされない場合は、本来の世界に持ち越すことになります。


テストに協力して頂いたことに関しては、何かしらの報酬はご用意致しますので、何卒宜しくお願い致します。】



読んだマニュアルにはそんな事が書いてあり、あと魔王討伐だの産業革命だの、使命的なこともないともあった。


更にこの「なろう世界」から本来の世界に戻るには、今すぐにでも帰還を願えば帰れるらしい。

帰る方法としてはウチがそう願うか、こちらの世界で寿命を迎える、或いは事故トラブルで死亡する。

要はリセットが無い超リアル・・・いやまぁリアル(現実)そのものなんだけど、ゲームの世界だと思って楽しめばいいって事だと理解することにした。


設定てか、現状はプリセットされているらしくて、


【成人して田舎からそこそこ大きな都市に、冒険者登録しに来た。昨日その都市にたどり着き、安宿に泊まって起きたところ。】


「なろう転生」鉄板の生い立ちをすっ飛ばして、本番の物語に入るとこだね。

まぁ赤ちゃんから始められて、ナロッパの生活水準で十何年生活させられるよりは、ウチにしても全然いいけど。


当然この世界の言語やある程度の常識、スキルや魔術といった不思議要素の知識も一通りはインプットされてるっぽい。

まぁわからん事は例の(マニュアル)を呼び出せば、大体解決するし、そこらの不安もあんまりない。


しかし知識としてはあるが、実体験がないので、ともかく実践がしたい!!


ってことで一旦、都市の門を出て街道を歩き、人の気配のないそこそこの草むらに分け入ってスキルや身体能力を確認することにした。


「ここらでいいか。結構街道から入ってきちゃったけど、お馴染みチート機能の鉄板・MAPがウチにはある!」                                    あと鑑定も付けてくれてる。この鑑定はこの「なろう転生」の会議?に出てくれていた「ウチの枠の癒し要員こと(マグマさん)」が、このスキルは無いとピーマンさんが辛いと思う!っと熱弁して付けてくれたらしい。

他にも容量は小さいらしいけど、これも定番のマジックバック。

そのバックの中には各種のポーション・2週間程度の食料・キャンプ用品(こっちの世界にある程度は合わせてあるらしい。でも一部本来の世界のチート品も入れてくれてはいる。)を、(マグマさん)が持たせてくれたらしい。


「マジに(マグマさん)居てくれて助かった。」と、誰になく言葉を溢した。


他の会議出席者は常連の二人に、比較的最近ウチの枠に定着して、「ヒャッハー!」と枠内で世紀末パーティーを一人で初めて、周りを巻き込む、この会議でも主導権を握っていたらしいMi6って名乗ってるリスナーさん。


この常連さん二人に新規さんは、ともかくウチをいじることに全てを掛けていると言ってもいい位なので、この「なろう転生」に置いても

「ネタで無けりゃピーマンでない!ピーマンが楽しむ?いやいやリスナーが楽しんでナンボ!絶壁はスタータスだぜ!?ヒャッハー!!!」

 って感じの会議だったとウチにも容易に想像が付く。


実際(マニュアル)に書いてあったスキル・ステータス等の横にはそれらの能力を設定した者からのコメントと言うか説明があり、誰がどのスキルを設定したかは名前はないけど、文体から一目瞭然。


「百聞は一見に如かず ともかくスキルから使ってみよう!」


少し離れたとこにある岩に向かって「火遁の術!」っと少し大きめの声をだしてスキルを発動してみた。


狙った岩の下の地面が1M四方くらい、キャンプで其処らの枝や枯草だけの焚火くらいの火が付いた!


「おぉ!!・・・お?」


しっかり火は出たんだけど、その効果時間ってか継続時間が約10秒くらい?

ターゲットが獣や人、比較的可燃物を身に纏っていれば、それに火が付いて効果的かもだが、そうでないなら微妙な気が・・・。


(火遁の術 目標の足元に炎を出現させる 範囲・継続時間・威力はMPに依存。イメージによって調節可能だが、イメージにMPが釣り合わない場合MP不足と表示され実行されない)


「ちゃんと炎は出たし、使う場面・使い方で十分有用だよね、うん。それになんと言ってもあの(ヒャッハー!さん)が設定したんだから、そんな無双技な期待もしてなかったし。」


さっきの真面目なスキル説明分のあとには(スキル所見 一般的な忍者としての攻撃技だぜ!MP最大値はキャラレベルで上がるから、そこらは努力次第だぜ?ヒャッハー!)って書いてたからね。

彼の設定スキルにしてはまだ常識?範囲だったことに安堵した。


それじゃ!まだまだ確認しなきゃならい事が一杯なので、サクサク試してこ!!



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