第6話扉を開けてみる。
扉へと恐る恐る近づく。誰だって知らない部屋にいて扉の先がどうなっているのか分からない以上それは慎重な気持ちにならざるを得ないのではないだろうか。今それは全員には当てはまらないか。僕は苦手なものが沢山ある飛行機は怖い。なぜならば墜落したら逃げ道がなく一巻の終わりだからだ。僕は海が怖い海はまだ全容がほとんど解明されておらず、海には未知なる生物が存在している可能性がまだまだあるからだ。それに海にはクジラやサメなどの巨大な生き物もいる。よくホエールウォッチングなどをするツアーなどがあるが僕は信じられない。あんな巨大な生き物がいる場所の近くへ行こうなどという気持ちにはとてもじゃないがなれないのだ。ぶつかる可能性だって海から突き上げてくる可能性だってあるのに。現に高速船で走っているときにクジラにぶつかるという事象は数多く存在しているじゃないか。そして船に穴が開いたら、海に放り出されたら……考えるだけでも不安になるのだ。それに船にだって僕は信頼を基本的においていない。そもそも人間が作るものだし僕は結構な人間不信である。ニュースなどで法定点検をしていないとか、賞味期限切れを提供しているとか、SNSで自分が目立ちたいが為にいろいろないたずらをするとか、そもそもこの世界は犯罪で、戦争で溢れているじゃないか。嘘と欺瞞に満ち溢れ羊の皮を被った獣が町を歩き回っている。この世界で一番平和と言われている日本でさえそうなのである。もちろんみんながみんな全てそうと言っているわけではない。僕はここ日本が好きだし、自由はある程度保障されてはいる。しかし現にこうして監禁されているじゃないか。多分だけど、多分絶対だ。よくわからない日本語になってしまった。話がそれてしまったが、とりあえずいろいろ考えた結果扉を開けるのが怖いのは皆というわけではなさそうだ、という結論に至った。僕が人間不信で怖がりだからもしかしたらこれはこの不安感は僕だけとは言わないまでも少数派なのかもしれないな。どちらかと言えばそう、僕はチキンなのである。それによくよく考えればこの部屋にとどまり続ける事の方がもし犯罪に巻き込まれていた場合は状況が悪化している可能性があるからだ。時間とともに家が崩れる、火が出て燃える。あるいは僕を監禁していたものは今、買い物で出かけていてもう少ししたら帰ってくる。そういう可能性も否定は出来ない。つまり時間が直、命に直結しているのかもしれない。タイムイズマネーならぬ、タイムイズ命である。
僕は意を決して扉を開けたのであった。
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