第35話 成績

霧崎母と話した後、神門たちは霧崎悠那の部屋に居た。


「すみません、先輩」

「んぁ?」

「面倒な事にしてしまって」

「まあ、遅かれ早かれこうなってたんだろうから。別に良いよ」

「先輩って何でたまにかっこいいんですか?」

「たまにって何だよ」

「だって先輩って、theイケメンって感じじゃないですか?」

「まあ言いたい事は分かるけど。そうだな」

「顔だけで言うと、香威先輩の方がかっこいい部類ですしね」

「まあな」

「でも、先輩の場合、密かにモテたりしてそうです」

「そんなわけあるか」

「分からないですよー」


2人は、霧崎の部屋のソファにくつろぎながら、話をする。


「先輩って今年の4月から受験生じゃないですかー」

「そうだな」

「志望校とかあるんですか?」

「全く」

「大丈夫なんですか…」

「さあ」

「まあ、先輩ならどこ行っても大丈夫だとは思いますけど。何か決め手とかあったりします?。こんな高校に通いたいとか」

「そうだなぁ。制服はブレザーかな。あとは、校則が緩いとか」

「まぁ、先輩の頭じゃ学校側が断りそうですよね」

「頭っていうか髪ね。先輩の頭じゃって言い方だと中身の方になっちゃうから」

「そういう意味も含めちゃいました」

「確かにお前よりは、頭は良くないとは思ってるけど」

「そうですね」

「そこは、嘘でも良いから否定しろよ」

「しても意味がないので」

「ああ、そう」


霧崎は、1年生の中で学年1位の成績。

神門は、2年生の中で学年3位の成績。

順位を見ると差がないように見えるが、実態は違う。

神門が、1年生の時も学年3位だったのだが、霧崎は、1位であり、さらに国数英理社の合計点数が500点満点中498点を取るような女子なのだ。


「そういえば、腰の調子はどうですか?」

「もうじき、このコルセットともおさらばだな」

「大変でしたね」

「おう」


神門が怪我をしてから、3か月のドクターストップを宣言された。

そして、その宣言から今月の末で3か月となり、ようやく練習に参加できるようになる。


「でも、来週大会ですよね」

「だな」

「その試合って先輩は…?」

「出れないというか、普通なら出してもらえないだろうな。練習にはまだ参加してないわけだし」

「ですよね」

「まあ、準備はしておくよ。この前の二の舞だけは嫌だからな」

「いや、それ出るつもりじゃないですか。ちゃんと医者の助言を貰ってからにしてくださいね」

「分かってるよ」

「分かった上で、医者の許可を貰わず試合に出そうだから怖いんです」

「そうかい」

「全く…。先輩」

「ん?」

「無茶だけは駄目ですからね」

「分かってる…」


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