第33話 クリスマスプレゼント

「お邪魔します」

「どうぞー」


神門は、霧崎に誘われ、霧崎の家に来ていた。

霧崎悠那の部屋に招き入れられ、2人はソファに座る。


「先輩」

「ん?」

「他の付き合っている人たちって今日は何しているんですかね」

「さあな」

「香威先輩とそういう話しないんですか?」

「しないな」

「まあ先輩って、あんまりこういう話をしなさそうですよね。付き合ってることを他言するような人でもないですし」

「そうだな」


2人は、のんびりと過ごす。


「あっ、忘れないうちに渡しておくわ」

「はい?」


神門は、鞄の中からラッピングされた袋を取り出す。


「メリークリスマス、悠那」

「…先輩って本当に性格だけは人一倍イケメンですね」

「だけって言うなよ」

「ふふっ、でもありがとうございます。一応、僕からもあるんですけど、取って来ますね」


クリスマスプレゼントを受け取った霧崎は、神門に渡すプレゼントを取りるため立ち上がる。


「はい、先輩。僕からのプレゼントです」


霧崎もラッピングされた袋を神門に渡す。


「じゃあ、一緒に袋開けましょ」

「良いよ」


2人は、ラッピングされた袋からプレゼントを取り出す。

神門から霧崎へのプレゼントは、マフラーだった。

対して、霧崎から神門へのプレゼントは、スポーツ用のヘアバンドだった。


「ありがとうございます。このマフラーって…」

「俺と同じ奴だよ」

「先輩って僕のことよく分かってますねー。僕からはヘアバンドです。先輩って男子の割には髪が長くてバスケには邪魔そうだったので」

「ありがとう」


霧崎は、貰ったマフラーを首に巻いていた。


「暖かいです」

「そういうものだからな」

「これから、これを愛用します」

「それは良かった」


プレゼントを渡し終えた2人は、霧崎の部屋で緩やかな時間を過ごす。


「お前って、やっぱ本とか読むのか?」

「まぁそうですね。小説とかが多いですけど」

「へぇ」

「先輩は、どうですか?」

「俺も読む方だけど、中学に入ってからはあんまりだなぁ。部活が忙しくて」

「まぁそうなりますよねー」

「そうなるよなー」


2人は、根本的には読書家なのだ。

しかし、読んでいる本のジャンルは異なる。

神門は、ライトノベルが多い。

対して、霧崎は、純文学が多い。


「僕からも聞きたい事あります」

「何だ?」

「先輩って好きな異性のタイプって何ですか?」

「それ、今聞く?」

「そういえば、聞いた事無いようなって思って」

「そういうお前は?」

「髪が長くて、色もピンクブラウンで目が細い人がタイプです」

「へぇ、そんな奴居るのか」

「鏡なら貸しますけど?」

「はいはい」

「それで、先輩は?」

「かっこいい女子かな」

「…どこの女ですか」

「急に面倒くさくなったな」

「そこは、僕って言ってくださいよ」

「えー」

「えーって、今のかなり傷つきましたよ!!」

「それは悪かったな」

「それで、そのかっこいい女子ってどこの女ですか?」

「お前だろ」

「え?」

「お前って、好きなことには真っすぐじゃん。そうやって好意をストレートに伝えられるのってかっこいいと思うぞ」

「本当に先輩って僕のつぼを突いて来ますね」

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