第32話 クリスマス
12月25日。
昨日、2学期の終業式を終え冬休みを迎えた。
冬休み初日、夜桜中バスケ部は、今日も今日とて練習だった。
「雪降ってるなぁ」
「そうですね」
練習を終えた神門と霧崎は、共に帰路についていた。
「イルミネーション綺麗ですね」
「そうだな」
「…先輩のことですから、ただの発光ダイオードだろとか言うかと思ってました」
「LEDを発光ダイオードって言うの理科の授業だけかと思ってたわ」
「確かにそうかもですね」
2人は、街のイルミネーションを見ながら歩みを進める。
「それで、どうする?」
「何がですか?」
「デートするんだろ。行きたいところあるのか?」
「先輩が行きたい良いですよ。先輩、人ごみを嫌うでしょうから」
「まあな。にしても、どこも人多いだろうなぁ」
「ですよね」
神門が先導するように前を歩く。
「(先輩と手を繋ぎたいな…)」
「悠那」
「はい」
「手、繋いで良いか?」
「ふぇ?」
「あー。やっぱり良いや。ちょっと雰囲気に当てられたわ」
「いえっ!!繋ぎましょ!!ぜひ!!」
「お、おう」
神門と霧崎は、手を繋ぐ。
「先輩の手って何か女の子みたいです」
「それってどう受け取れば良いんだ?」
「すべすべで、華奢な手で憧れます」
「だから、それはどう捉えれば良いんだよ」
手を繋いで、街の中を歩く。
「先輩」
「あ?」
「今のでサンタ3人目ですよ」
「数えるんじゃねぇよ」
「だって、あんな目立つ格好したら目が行っちゃいますよ」
「そう言ってもな」
街中では、サンタのコスプレをして、ケーキの販売する人がちらほら見えた。
「それで、先輩」
「ん」
「どこに向かっているんですか?」
「まあせっかくのクリスマスだ。ケーキくらい奢ってやる」
「本当ですか!?」
「ああ」
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2人は、いきつけの喫茶店へと向かった。
「いらっしゃいませー。2名様でしょうか?」
「はい」
「では、空いてる席へどうぞー」
女性店員に案内され、席につく。
「思ったより空いてるな」
「みたいですね」
喫茶店は、クリスマスにしてはかなり空いていた。
「本当ですよねー」
「あっ、店員さん」
女性店員がお冷を2人分持ってきてくれた。
「クリスマスは、何故か客があんまり来ないんですよねー」
「そうなんっすね」
「おかげで、店長が荒れてるんですよ」
「それは、大変っすね」
女性店員と神門が話していると、1人の男性店員が歩いて来た。
「姫奈さん、仕事してください」
「えぇ~。だってこんなに空いてるんだよ」
「掃除とかしてくださいよ」
「もう終わったのー」
「じゃあ、トイレ掃除は?」
「やったよ」
「じゃあ…仕事見つけて何かしてください」
「柊人は何してるのさ」
「…仕事です」
「ほらっ、柊人も何もやってない!!。正直に言いなよ、暇だって」
「姉貴に怒られるのは嫌なんですよ」
柊人と呼ばれている男性店員と姫奈と呼ばれている女性店員が言い合っていた。
この2人がホールで働いている。
残りの店員は、3人いるのだが基本的にキッチンにいる。
「すみません。お客様、この人を引っ張っていくので、注文が決まり次第お呼びください」
柊人と呼ばれていた男性が姫奈と呼ばれていた女性を引っ張って行った。
「賑やかな店ですね」
「だな」
その後、2人はケーキを注文し、食事をする。
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喫茶店で食事を済ませ、店を出る。
「先輩」
「ん?」
「これから時間はまだありますか?」
「あるけど」
「私の家に来ませんか?」
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