第31話 応援

修学旅行が終わり、一週間ほど経過した。

12月も中旬となり世間はクリスマスムードだった。

しかし、夜桜中バスケ部にはそんなもの関係がなかった。


「みんな、聞いて。今日、初戦で戦う相手は夏に私たちが負けたところよ。それに、今回は神門もいない。この意味が分かるね?」


『『『はい!!』』』


今日から明日にかけて、大会が開催される。

今回の大会は、特殊で全国区の大会ではあるもののリーグ戦となっている。


「それじゃあ、みんな。夏の借りを返すよ!!」


奥村監督の言葉を聞き、スタメンはコートに整列する。


「香威」

「煉、言いたい事は分かる。だから、大人しく座ってろ」

「ああ」


神門は、香威たちを信じてベンチにて応援をする。

試合が始まると序盤は、夜桜中がリードしていた。

しかし、後半になるにつれて、形勢が逆転し、リードされる状況となった。


「監督…」

「分かってる。でも、もう手は打ったよ。でも今、神門が抜けた状態だとこうなる事をしっかり目に焼き付けなさい。そして、怪我を完治させること。次は、完膚なきまで叩き潰す。良いね?」

「はい」


その日の試合は、全敗した。

全国ベスト8の面影が無いほどだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「煉」

「香威」

「すまん」

「お前らは、よくやったよ」

「お前に頼らないと勝てないみたいだ」

「そうだな」

「すまん…」


香威は、神門に謝り、どこかに行ってしまった。


「くそっ…」


神門は、自分が何も出来なかった辛さから涙が零れ落ちる。

香威は、神門の力が無ければ、試合に勝てなかったことへの悔しさから涙があふれた。


「煉先輩」

「悠那か」

「あの…」

「俺の心配より、自分たちの試合に集中しろ」

「…はい」

「後輩が先輩の心配をしてんじゃねぇよ。お前は、いつも通りで良い」

「はい!」

「悠那、頑張れよ」

「煉こそ、お疲れ様です」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


この日の全試合が終わると、ホテルに向かった。

男女共に同じホテルに宿泊している。


「飲み物買って来るわ」


神門の部屋には、男子バスケ部の後輩が一人と同室だった。

神門は、1人ホテルの売店へと向かう。


「あれっ、先輩」

「お前はどこにでもいるな」

「ははは、嬉しい限りです」

「どこら辺がだ」


売店へと向かう途中、霧崎と遭遇した。


「これから売店に行くんですか?」

「そうだけど、お前もか?」

「私は、夜風にあたろうかと思って」

「へー」

「ちょっともう少し興味持ってください」

「いや、どうせお前の事だからついて来てくださいとか言うんだろ?」

「よく分かりましたね。というわけで、一緒に歩きましょ」


神門は、霧崎に誘われホテルの外に出る。


「いやぁ、冷えますね」

「そりゃあ12月だからな」

「来週のクリスマス予定あります?」

「練習だな」

「終わってからですよ」

「それなら、何もない」

「それなら、デートしましょうよ」

「良いけど、人が多い所には行きたくないからな」

「分かってますよ。どうせ、先輩のことですから面倒くさいとか言うと思ってるんで」

「それは良かった」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る