第30話 お土産
修学旅行から帰って来た翌日。
今日は、土曜日であるため、学校は休みだ。
夜桜中男子バスケ部は、通常通り練習だった。
「そういえば練習、久々だけど、俺はまだ出来ないんだ」
「当たり前だろ」
「帰ろうかな」
「馬鹿言ってないで、さっさと準備して来い」
「はいはい」
神門は、今日も見学だが、練習には見に来ている。
することは、ハンドリングの向上がほとんどだ。
「よりによって、2部練習だし…」
今日は、午前と午後の2部練習だった。
「はぁ…」
「せんぱーい」
神門が溜息をしていると誰かの呼び声がした。
「先輩、おはようございます」
「おはよ」
「相変わらず、眠そうですね。目が細いです…っていつものことでしたね」
「久々に会った彼氏であり先輩に対してその態度か」
「そうですね、お久しぶりです」
「おう、久しぶり」
霧崎は、ここ数日会えていなかった神門に話しかける。
「今日は、僕たち練習試合なんですよ」
「みたいだな」
「なので、リストバンドを交換しましょ」
「そうだな」
神門は、身に着けていたリストバンドを外し、霧崎に渡す。
「ありがとうございます。先輩もどうぞ」
「おう」
霧崎から受け取ったリストバンドを腕に着ける。
「なぁ悠那」
「はい?」
「明日は、普通の練習か?」
「そうですけど」
「じゃあ明日、お前の分のお土産持って来るわ」
「はい!楽しみにしています!!」
「それじゃあ、頑張って来いよ」
「先輩は頑張らないでくださいね」
霧崎は、バスケ部専用のバスに乗り込み、練習試合へと向かって行った。
対して、神門は、コート横でボールを触っていた。
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翌日。
「先輩!!」
「おう」
「昨日の試合で点取れました!!」
「良かったな」
「ってことで、ご褒美ください」
「何が欲しいんだ?」
「先輩の家の合鍵でお願いします」
「馬鹿か」
「先輩より頭良いです」
「じゃあ非常識」
「むぅ…否定はできない」
昨日の練習試合の活躍を神門に報告する霧崎。
「まぁご褒美ってわけじゃねぇけど。はい、お土産」
「あっ、ありがとうございます」
神門は、修学旅行のお土産が入った袋を渡す。
「中、見てもいいですか?」
「良いぞ」
「キーホルダーとお菓子。あと、ぬいぐるみ?」
「キーホルダーはお揃いのイルカのキーホルダーだ。お菓子は、お前も甘いもの好きだろうから。そしてぬいぐるみは、単純に可愛かったから」
「ふふっ、ありがとうございます。嬉しいです」
神門は、水族館で買ったキーホルダーと国際通りで購入したタルト。
そして、水族館で見かけてはいたが、購入せず国際通りで再び同じぬいぐるみを見つけたため購入した。
「これって何て生き物ですか?」
「チンアナゴだ」
「ほぇ~。不思議と可愛いですね」
「だろ」
購入したぬいぐるみというのは、1メートル越えのチンアナゴの抱き枕だった。
「よく持って帰れましたね」
「苦労した」
「でも、先輩らしいです」
「そうか」
「はい、先輩さえ良ければ、練習終わったあと、このタルトを先輩の家で一緒に食べません?」
「俺は、別に良いけど」
「やった」
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練習を終え、2人は、神門の部屋に来ていた。
「紅茶は、いつものだけど」
「先輩の淹れる紅茶が好きなので、何でも大丈夫です」
「それは良かった」
神門は、紅茶を二人分淹れ、お菓子の用意をする。
「先輩」
「ん?」
「腰の様子はどうですか?」
「あんまりだな」
「そうですか…。1月の終わりまで出来ないって、きついですね」
「まあな」
「来週の土日、大会ですよね」
「そうだな」
「しかも、泊りがけで2日間」
「結構、大規模だよな」
「僕は、まだ1年ですし、スタメンでは無いから何ともですけど。先輩は、そうも言ってられないですよね」
「まあな」
来週の土日の2日間、かなり大きな大会がある。
その大会は、全国区の大会であるため、スタメンである神門が抜けると痛手を食らう事となる。
「まぁ、そんなもん気にしてもどうしようもならないからな」
「そうですね…」
「それに、お前の活躍する場はあるかもしれないぞ」
「あはは、それはそれで嬉しさ半分、出たくないが半分です」
「まぁ、俺も初めての公式戦は緊張したなぁ」
「先輩がですか?」
「お前は、俺を何だと思ってるんだ?」
「頭のネジが4本くらい抜けてる先輩」
「それならお前はもっと抜けてるよ」
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