第27話 修学旅行前夜

「寒いなぁ」

「じゃあ窓を閉めろ」


12月となり、冷え込みが増してきた。

そんな中、神門は部室の窓を開け、外を眺めていた。

その様子を見ていた香威は、窓を閉めるように言う。


「明日、修学旅行なのに、今日も今日とて練習ですか」

「お前は、見学だけどな」

「わざわざ着替える必要ないよな」

「制服のままでも良いじゃねぇの?」

「それは、それで疎外感でるから嫌だ」

「終わったらに着替えるのに?」

「おう」


着替えを済ませ、コートに向かう。

2年生は、明日が修学旅行ということもあり、浮ついていた。


「集合!」


奥村監督の声を聞き、監督の下へと集まる。


「2年生と私は、明日から修学旅行で4日ほど居ないから1年生はホワイトボードに書いてある練習メニューをこなしてね。それで、2年はしばらく練習はできないから、それも頭に入れて練習に取り組んで。じゃあ練習始めて頂戴」


奥村監督の指示に従い、練習を始める。


「神門」

「はい」

「腰の調子はどう?」

「まあ痛みは引いてますけど」

「無理をしたら、悪化するからね」

「そうっすね」

「隠れてシュート練習するんじゃないって言ってるの」

「あぁ、バレてましたか」

「ボールは触ってて良いから、動かないで」

「はーい」


練習が始まる前、シュートを撃ちたくなった神門は、監督に隠れてシューティングをしていた。


「無理をすればするほど完治が遅くなるから」

「分かってますよ」



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「先輩って明日、修学旅行ですよね」

「だな」

「お土産期待してます」

「そういうのは、思ってても口に出すなよ。買って来るつもりなんだから」

「先輩って性格は、本当にイケメンですよね」

「なんだよ性格はって」

「だって先輩って見た目は下の上くらいじゃないですか」

「リアルなのが失礼だな」

「でも、先輩ってそれを感じさせないほど性格良すぎますよ」

「それは、褒めてるっていう認識で良いんだよな?}

「もちろんです」


今日も部活を終えた2人は、神門の部屋で少しの間だが過ごしていた。


「というか先輩」

「なんだ?」

「この紅茶、先輩が淹れたんですか?」

「そうだけど」

「先輩ってこういうの得意ですよね」

「そうか?」

「はい、美味しいです」

「それは、良かった」


霧崎は、神門が淹れた紅茶を一口含む。


「修学旅行の行き先ってどこなんですか?」

「沖縄だけど」

「この時期の沖縄ですか。過ごしやすそうですよね」

「こっちを出る時は、ブレザーのジャケット羽織るけど、向こうに突いたら脱ぐことになるな」

「まぁそうなりますよね」


12月の沖縄は、涼しく、過ごしやすい。


「いつか2人で行きたいですね」

「そうだな」

「新婚旅行で行きます?」

「そんな後で良いのか?」

「へ?」

「お前の事だから、卒業旅行で行きましょうよーとか言うかと思ったんだけど」

「先輩って本当にあざといですよね」

「生意気なお前よりマシだよ」

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