第26話 ベッドとソファー
「お邪魔します」
「おう」
寒空の下、公園のベンチで時間を共にするというのは、難しいという理由で、これからの時期は神門の家で過ごすことが決まった翌日。
さっそく、神門は、霧崎を家に招き入れた。
「あの、先輩」
「ん?」
「先輩の部屋に行ってみたいです」
「は?」
霧崎のお願いに思わず聞き返す神門。
「だめですか?」
「別に良いけど、何もないぞ?」
「それでも行ってみたいです」
「はいはい」
神門は、霧崎を自分の部屋に招き入れる。
「割と片付いてますね」
「まあな」
「ボールにゲームに漫画や小説って結構多趣味なんですね」
「飽きっぽいところもあるからな」
「なるほど」
神門の部屋を見渡す霧崎。
彼の部屋は、散らかっている訳でもなく、ベッドやソファーが置いてあり、机の上にはパソコンのモニターがある。
他にも、多くの本棚には、教科書や漫画、小説が収納されている。
そして、賞状も額縁に入れて飾ってあった。
「先輩」
「ん?」
「先輩のベッドで寝て良いですか?」
「だめ」
「どうしてですかー?」
「いや、部活終わりにシャワーも浴びずベッドに寝るのは嫌だろ」
「まぁ分かりますけど」
「分かってるんならやるな」
「じゃあ、シャワー貸してください」
「そこまでしてベッドで寝たいか」
「もちろんです」
霧崎は、ベッドで寝たいと懇願するも神門は断る。
「まぁ良いです。僕も汗かいたままの身体で先輩と寝るのはちょっと抵抗ありますし」
「どこから突っ込めばいいんだ?」
「先輩、何かいやらしい想像してるんですかー?」
「追い出すぞ」
「ふぇぇぇ、ごめんなさい」
霧崎は、神門に抱き着く。
「近い、うるさい」
「近くないですし、うるさくもないです」
「というか、汗臭いだろ」
「先輩がですか?そんな事は無いと思いますけど…ってもしかして僕、汗臭いですか!?」
「だからうるさい。汗臭くないから心配すんな」
霧崎は、ソファーに座る神門の膝の上に座る。
「重い」
「何言ってるんですか先輩は。女の子の重さは、綿菓子と同じ重さなんですから」
「じゃあ綿菓子何キロ分あるんだ?」
「先輩には教えられません」
「ああ、そう」
霧崎は、神門の首に腕を巻き付ける。
「せんぱーい」
「ん?」
「眠くなってきました」
「じゃあ家に帰って寝ろ」
「えぇー」
「もう時間も時間だからな。送って行くぞ」
「そうですね…。先輩に迷惑かける訳にもいきませんし。送ってください」
「はいはい」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
季節はもう冬。
夏は、まだこの時間帯でも明るかったが、今はすっかり暗くなっている。
神門は、霧崎を家まで送る。
「先輩って誕生日いつですか?」
「5月18日」
「はっ?」
「あ?」
「って事は、今は14歳ですか?」
「そうだな」
「どうして言ってくれなかったんですか!?」
「聞かれてないから」
「そうだった!!」
「そういうお前はいつだよ」
「7月10日です」
「お前も終わってるじゃねぇか」
「ですね」
2人の誕生日は、すでに終わっているため祝う事はできない。
「来年は、必ず祝いますから」
「そう」
「先輩も来年の僕の誕生日祝ってくださいね」
「分かってるよ」
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