第22話 肉まんとあんまん

秋も終わりに差し掛かり、冷え込む時期になって来た。


「あぁ、冷え込んで来たなぁ」

「そうだな」


本日も授業を終えた神門たちは、部室で着替えをしていた。


「煉は、今日長袖か」

「寒いからな」

「まあ、そうか」


秋になり、寒くなって来たため、神門の練習着も長袖となった。


「黒と金か」

「あ?」

「いや、お前の練習着ってそのカラーリング多いよな。バッシュも黒がベースになって金が少し入ってるじゃん」

「だな」

「お前のイメージカラーみたいになってきてるぞ」

「そうなんだ」


着替えを済ませると、各々、コートにてシュート練習を始める。


「先輩」

「何だ」

「今日は、長袖なんですね」

「お前も気になるんだ」

「?」

「いや、良いけど」

「はい」


霧崎は、香威と同様、神門が長袖の練習着になっていたことが気になったようだ。


「先輩、今度のオフの日、時間ありますか?」

「一応、あるけど」

「買い物に付き合って欲しいです」

「場所は?」

「いつものスポーツ用品店です」

「買うものは?」

「練習着です」

「どんな?」

「先輩と同じものです」

「だろうと思った」


霧崎は、神門と同じものを身に着けることが多くなっている。

最初はリストバンドや練習着だけだったが、同じキーホルダーや同じ香水、今では筆箱も同じものを使っている。


「それで、良いですか?」

「良いよ」

「先輩って渋るくせに断りはしないですよね」

「面倒だから」

「はいはい」

「お前、先輩への敬意はどうしたんだよ」

「それこそ、面倒くさいです」

「そうですか」

「そうですよ」


2人は、次のオフの日に買い物に行くことを決める。




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


練習を終え、2人で途中まで共に帰っていた。


「今日も疲れましたね」

「だな」

「なんか最近、先輩の調子悪くないですか?」

「そうか?」

「はい、別にスコアは変わって無いような気がしますけど…」

「それなら良いんじゃね?」

「んー、何か違うような気がするんですよね」

「あっそ」


霧崎は、何か神門のプレイに違和感があるものの、それが分からず悶々としていた。


「寒くなって来たな」

「ですね」

「もうアイスの時期じゃねぇな」

「そうですね」

「なんか、食いたいものあるか?」

「んー、特に思いつかないですね」

「そうなんだ」


2人は、いつものコンビニへと向かう。


「あぁ、もう肉まんの時期か」

「本当ですね」

「お前、食う?」

「あんまんでも良いですか?」

「良いぞ」

「ありがとうございます」


神門は、レジにて店員に、自分で食べる肉まんと霧崎の分のあんまんを注文する。


「ありがとうございましたー」


会計を済ませると、いつものようにコンビニ近くの公園にあるベンチに座る。


「先輩」

「あ?」

「あの、奢ってもらえるのは嬉しいんですけど。ちょっと心苦しいというか…」

「そんなもんか」

「はい」

「なるほどなぁ」

「先輩の家ってお金持ちだったりするんですか?」

「いや、普通の一般家庭だけど」

「そうなんですね。でも、ちょっと羽振りが良すぎるというか…」

「まぁ俺が一人っ子っていうものもあるんだろうな。だから、お前の事を彼女だとは思ってるが、妹が居たらこんな感じかなぁって思うこともあるんだよな」

「そうなんですね」


霧崎は、神門に申し訳ないと思いながら話を聞いていた。


「まぁ、気にするな。俺が払いたいから払ってるだけだから」

「先輩め」

「何だよ」

「先輩のくせに生意気です」

「そういうお前が生意気だよ」

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