第17話 投票
夏休みが終わり、夜桜中はあるイベントに向け、大騒ぎだった。
「文化祭ねぇ…」
神門は、教室の隅で呟く。
彼の席は、窓際で、教室の1番後ろである。
彼曰く、主人公席と呼ばれる位置だった。
「(面倒くさ…)」
神門が在籍する2年3組は、文化祭の出し物について話し合っていた。
今、候補としてあげらえているのは、
・お化け屋敷
・喫茶店
・演劇
以上の3つだった。
「どれも面倒くさいな…」
神門は、窓の外を眺める。
2年3組のある教室は、4階のため、窓の外を眺めると街の景色が一望できる。
『ペシッ』
「いたっ」
窓の外を眺めていた神門に、何者かが紙を筒状に丸めたもので頭を叩く。
「君は、何をやっているのかな?」
「先生…」
彼の頭を叩いたのは、彼の担任でもあり、部活の監督でもある奥村真綾だった。
「外周増やすから」
「横暴だ…」
本日の練習に、外周が追加された。
「はい、じゃあ多数決取るよ。時間も限られてるから」
奥村先生の声により、多数決で採決を取る事となった。
すると、結果は…。
「それじゃあ2年3組は、演劇になりました。…皆、そんなに演劇が良かったの?」
2年3組の人数は、40人なのだが、過半数が演劇に投票された。
「というか、演目は何にするの?」
奥村先生の問いかけに、クラスは再び騒がしくなる。
白雪姫が良いだとか、シンデレラが良いとか。
変わった意見だと、羅生門が良いとか…。
「(羅生門って配役少なくね…?)」
結局、その日は演劇をすることだけが決まった。
演目は、また後日話し合う事となった。
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「何で、うちのクラス演劇に前向きなの?」
「知るか」
「俺は、喫茶店に入れたぞ」
「俺は、お化け屋敷」
部室にて、部活の準備を始める神門と香威。
先ほどの、多数決では、神門は喫茶店に。
香威は、お化け屋敷に投票していた。
「あーやる気起きねぇ…」
「そうだな」
着替えを済ませ、コートへとむかう。
「せんぱーい!!」
「ぐへっ」
霧崎が神門の背後から抱き着く。
「先輩、聞きましたよ!!」
「何をだ…?」
「先輩のクラスって演劇やるんですよね?。ってことは、先輩も出るんですか?」
「誰に聞いたって…佐藤か」
「はい!」
女子バスケ部のキャプテンとなった佐藤一華。
彼女は、神門や香威と同じく2年3組所属だ。
「もちろん、出ますよね!?」
「出ねぇよ…。というか、出たくない」
「えぇー。香威先輩も出られるのですか?」
「俺も出たくない」
「先輩方…」
それから、練習が始まり、いつものメニューをこなしていく。
もちろん、外周も走った。
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「まだまだ暑いですね~」
「そうだな」
神門と霧崎は、今日も共に帰っていた。
むしろ、一緒に帰っていないほうが珍しい。
「というか、さっきの話ですけど。演劇って何するんですか?」
「そこまでは、まだ決まってない」
「そうなんですね、やっぱり王道で言うと、白雪姫とかですか?」
「さあ」
「あとは、羅生門とかですか?」
「なぜ、羅生門をそんなに推してくるんだ…」
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