第3話 ドーナツとアイス
「神門、荷物を運ぶのを手伝ってくれる?」
「奥村先生、面倒くさいです」
「外周走らせるよ?」
「お運びします」
放課後、2年3組の教室で、神門は、担任である奥村先生の荷物を運ぶように言われた。
「それで、今年の新入部員はどう?」
「どうもこうも、まだ分かんないですよ」
「それもそっか」
神門は、職員室まで荷物を運び終えると、荷物を取りに教室へ戻る。
「あれ、先輩?」
「ん?」
神門は、何者かに呼び止められた。
「えっと、確か…。(名前覚えるの苦手なんだよなぁ)」
「霧崎悠那です」
「あぁ!霧崎ね」
「はい、何か奇遇ですね」
「そうだな」
「部活には行かないんですか?」
「行くよ。今は、先生の手伝いしてたから。これから荷物を教室に取り入って、部室に向かうよ」
「では、ご一緒しても?」
「はい?」
神門は、霧崎と共に2年3組の教室へと向かう。
「何で、わざわざついて来たの?」
「暇だったので」
「いや、これから部活でしょ」
「先輩もでは?」
「そうだけど」
「では、一緒に行きましょうよ」
2人は、2年3組の教室に辿り着き、神門は、通学用の鞄と部活道具が入った鞄を持つ。
「じゃあ行くか」
「はい。それにしても、先輩の教室って緊張しますね」
「だろうな」
「これが、先輩の机ですか」
「そうだけど」
「何の変哲もないですね」
「学校の机ってそんなもんだろ!?」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「煉、なんでお前女バスの後輩と一緒来たんだ?」
「来る途中に声かけられたから」
神門と香威は、バッシュの靴ひもを結びながら、先ほどまでの事は話していた。
「お前、そういう奴だっけ?」
「こういう奴だけど?」
「本当に、掴みどころ無いな」
2人は小学校が同じで、2人でどこか遊びに行くようなほどの中では無いが、バスケのことは気が合う関係だ。
「それで、あの人名前は何て言うんだ?」
「えっと、確か霧崎悠那だったかな」
「名前覚えてたんだ」
「明日には忘れるかもしれないけどな」
「最低」
2人は、靴ひもを結び終え、練習が始まるまで、それぞれシューティングを始めた。
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「今日も疲れたなぁ」
「そうですね」
「何で居るの?」
「僕の家もこっちなので」
「あっ、そうなの」
神門は、1人ではなかった。
霧崎悠那と共に帰路についていた。
「なぁ、気になってたこと聞いていい?」
「何ですか?」
「何で一人称、僕なの?」
「キャラ付けです」
「シンプルだけど、混乱する答え!?」
神門は、1人混乱していた。
「先輩、入部祝いしてください」
「馬鹿なの?」
「私は、これでも入学直後の試験で、学年1位なんですよ」
「マジか!?」
夜桜中は、入学後、テストが行われる。
ちなみに、去年の神門は、そのテストにて学年3位だった。
しかし、霧崎は神門を超える、学年主席なのだ。
「それで何故、俺が入部祝いをしてあげなきゃいけないんだ?女バスだろ」
「先輩だからです」
「意味分からん」
2人は、夕暮れの街を歩く。
「今からどこか行くのは、帰りが遅くなるからコンビニで良いか?」
「へ?」
「いや、だから入部祝いして欲しいんだろ?。コンビニアイスで良い?」
「良いんですか?」
「コンビニ行きたいし、ついでに買ってやる」
「あ、ありがとうございます」
神門は、霧崎を連れ、コンビニへと入る。
「好きなの取ってこい」
「本当に良いんですか?勢いで言ったみたいなとこあるんですけど」
「俺の勢いが収まる前に取ってこい」
「はい!」
霧崎は、神門の言う通り、アイスを取りに行った。
その間、神門は、ドーナツを取りに行っていた。
「取って来ました」
「おう」
神門は、霧崎が手に持っていたアイスを受け取り、レジに向かう。
「お会計462円になります」
「バーコード決済で」
支払いを終え、外に出る。
「溶ける前に食えよ」
「はい、ありがとうございます」
2人は、コンビニ近くのベンチに座る。
「先輩って彼女とか居ないんですか?」
「いたら、後輩に奢ったりしない」
「そういうものなのですか?」
「そういうもんだよ」
その日は、他愛のない話をし、お互いアイスとドーナツを食べ終えると、そのままお互いの家へと帰った。
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