第2話 新入部員

部活動紹介を終え、新入生が入部してきた。


「今年は、かなり多いなぁ」

「そうだなぁ」


神門と香威は、監督のデスクに置かれた入部届を眺める。


「何人入った?」

「10人くらい」

「多いなぁ」

「だなぁ」

「何でこんなに入部してきたんだろうなぁ」

「お前が、ダンクしたからだろ」

「監督が派手にやれって言ってたから」

「お前の有言実行ってちょっと歪んでんだよ」

「仕方のない事だな」



新入部員は、10人入部してきた。

彼らが行ったパフォーマンスは、思いのほか反響が大きかった。

そのため、多くの部員を獲得できた。

そして、それは、男子バスケットボール部に限った話では無い。


「あれ?神門とあさひじゃん」

「佐藤か」


2人に話しかけてきた女子生徒、佐藤一華さとういちかは、女子バスケットボール部に所属するん部員で、学年は、神門たちと同じ、2年生だ。


「うわ、今年の新入部員多そうだね」

「見ての通りだなぁ」

「うん、一華の方は?」

「こっちは、例年通りだよ。それよりも、あさひ。部活終わったら一緒に帰ろ」

「良いよ」

「やった!」

「(俺、空気だなぁ…)」


香威と佐藤は、いわゆる恋人関係なのだ。


「(帰りてぇ…)」






~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~






「新入部員は、とりあえずランニングには混ざって。フットワークは、先輩たちのを見て真似するように」


「「「「「「「「「「はい!」」」」」」」」」」


昨日とは違って、賑やかな練習風景となっていた。


「じゃあ、ランニングするかぁ」

「そうだな」

「おう」

「はーい」

「へーい」


2年生のメンバーは、ランニングの準備を始める。

それを見た1年生は、彼らの後ろに並ぶ。


『ガララッ…』


体育館の扉が開かれる。


「すみませーん。遅れましたー」

「生徒会?」

「はい!」

「じゃあ、今からランニングだから、並びなさい」

「はい」


今、入って来た男子生徒は、この学校の男子バスケ部のキャプテン、三神希空だ。


「じゃあ、走るぞー」

「「「「「はい!!」」」」」


こうして、練習が始まる。

女子バスケの練習場は、隣のコートでやっており、この体育館は、バスケ部で2面使うようになっている。


「にしても、隣は壮観だなぁ」

「人多いなぁ」

「神門、香威喋るくらいなら、しっかり声出ししろよ」

「うーすっ」

「はーい」


ランニングを終え、速攻の練習が始まる。

1年生は、まずは、ハンドリングを鍛えるため、コート横に並んでボールに触れていいる。


「ぬぁっ!!」

「すまん、手が滑った!!」

「パスが雑!!。気が付いたらリングの真下だぞ!!」


香威のパスを受け、三神がレイアップをするのだが、パスミスが起きてしまっていた。


「ナイスパス!!」

「悠那、めちゃくちゃ上手くない!?」

「はははっ、ありがとうございます」


男子バスケ部の横のコートでは、女子バスケ部が盛り上がっていた。


「女子の新入部員は、みんなミニバス経験者かぁ」

「それに比べて、こっちは経験者が一人もいないな」

「2人とももっと速攻のペース上げて。そんな遅い速攻あってたまるか」


神門と香威は、隣のコートを眺めていると奥村監督に怒られてしまった。




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練習を終え、部員は、体育館のモップ掛けをしていた。

基本的には、1年がモップ掛けをし、2、3年は、先に部室に戻っていた。


「あっ、トイレ行ってくるわ」


神門は、トイレに向かった。


「僕が片付けておくから、良いよ」

「ん?」


神門は、ふと立ち止まった。


「(僕?)」


神門が立ち止まった理由は、声色と聞こえた言葉にギャップがあったからだ。


「(女の子の声だったけど、あれ?。僕???)」


神門は一人混乱していた。

声が聞こえた方へ近づくと、男子バスケ部の1年と女子バスケの1年がモップの片づけをしていた。


「先輩、忘れ物ですか?」

「えっと…君は?」


1人の女の子が神門に話しかけてきた。

見た目は、黒髪のショートヘアで、身長は160くらいのいかにも運動をやっていそうな女の子だった。


「僕ですか?。僕は、霧崎悠那きりさきゆなです」

「女バスの新入部員か。…僕?」

「はい」

「(僕っ娘…?)」


彼女からはクールな雰囲気が出ており、神門の脳は完全にバグっていた。


「それで先輩は、何か忘れ物をしたからここに来たのでは?」

「あぁ、いや。なんとなく来ただけだから、気にしないで」

「そうですか」



神門は、体育館を後にし、トイレへと向かった。

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