第21話 漏れ出た本音
私が
水の
両親も、友達も、先生も。皆が
とても
だから、私は
力を
そして、
でも、私に
どれだけ水の
そんな周りを見返そうと、頑張れば頑張るほどに、私の周りから人が
気が付けば
でも、良いんだ。
私にはこの子達が居るんだから。
「ガルーダ! もう少し頑張って!!」
ハヤト達の逃げ込んでるアイオンの上空を
でも多分、すこし
「そうはさせない!」
私が
水の魔術が使えたら、あんなドラゴンなんて、簡単に
カラミティが起きてから、私は水の魔術を使えなくなってしまった。
正確には、
それはきっと、私に対する
「おいマリッサ!! 何をしてる!」
「っ!? あのバカ!!」
アイオンから飛び出しながら大声を上げるハヤト。
どうして外に出て来たワケ?
私とガルーダが、こうして戦ってる意味を理解できてないの?
この白いドラゴンは、まず間違いなく、ハヤトのことを狙ってる。
理由は簡単。
彼が
少し考えたら、当たり前の話だよね。
これらは全部、
彼は間違いなく、
そもそも、私達の世界よりも彼の住んでた世界の方が
その間に、彼らが逃げ隠れ出来るなら、それでいいかもしれない。
「どうして出てきたの!! 早く中に戻って! こいつは私が何とかするから!」
「本当に何とか出来るのか!? さっきから攻撃がほとんど
「うるさい! いいから隠れててよ!!」
ハヤトと言い合ってても、意味なんかない。
それよりも、私はドラゴンに意識を集中しよう。
時間は掛かるとはいえ、水の魔術を放てないわけじゃないんだ。
どうせなら、飛び切りデカいのを打ち込んでやる。
一撃入れることさえできれば、攻撃がほとんど効いてないなんてこと、もう言えなくなるでしょ。
「もう少し。もう少しだから! ガルーダ、お願い!!」
杖の先に
そんな私の期待に応えるように、ガルーダはドラゴンの巨体の周囲を風に乗って
そこでようやく、杖の先の光が激しく
「よし!! 撃つよ、ガルーダ!!」
合図とともに
「
直後、
当たりに
さすがの白いドラゴンも、これだけのダメージを与えれば
なんて考えた私の視界に、黄色い光が飛び込んでくる。
「っ!? きゃっ!?」
地面に倒れてるはずのドラゴンの翼から、無数の黄色い光の球が
視界がめちゃくちゃに回転するせいで、自分が今どっちに落ちてるのかも分からない。
感じることはと言えば、耳元を切る風の音だけ。
多分、ガルーダの助けも間に合わないよね。
皆は、無事に隠れることができたのかな?
少し気になるけど、もう、私には関係ないことなのかも。
情けないなぁ。
「せめて、失敗くらいは取り返したかったのになぁ……」
その言葉が、口から出てたのかさえ分からない。
ただ、
でも、もう遅いよね。
多分、あと数秒で私は―――
「マリッサァァ!!
「へっ!? きゃ!?」
と同時に、私は何かフカフカした物に包まれるような
その感触は、どこか安心できるもので、思わず
でも、そんな時間は無かったらしい。
何かに包まれてから数秒もしないうちに、私は激しい
グルグルと回る視界から、多分、地面を転がってるみたい。
ようやく視界の回転が収まったところで、全身の痛みに
アイオンの横にあるだだっ広い場所。そんな場所に私は横たわってるみたい。
「……マリッサ、無事か?」
「この声、ハヤト!?」
すぐ真後ろから聞こえて来るその声に、私は思わず
だってそうでしょ?
良く知らない男に、後ろから抱き着かれたら、あまりいい気分じゃないものだよね。
だけど、
「……ちょっと、嘘。どうしてそこまで」
「痛てて……いや、それはこっちのセリフだって、なんで一人で戦ってるんだよ」
そう言って笑って見せるハヤトは、頭から出血している。
更に言えば、私を
でも、彼がその
「ははは、かっこ悪いよな」
私の視線に気づいたのか、彼はそう言って再び笑って見せた。
「……いいから、ちょっと黙っててよ」
彼になんて声を掛ければいいのか分からない。
だから、今の私にできる事を考える事にしよう。
まずは、ハヤトを安全な場所まで運んで、それから、
そう思って、腰につけてたポーチに手を伸ばした私は、それが無くなってることに気が付いた。
「嘘、薬が!」
「マリッサ、それどころじゃないみたいだぞ」
痛みに顔を
彼の視線を追った私は、思わず身体を
地面に叩きつけたはずの白いドラゴンが、私達を見下ろしながら近づいてきている。
ガルーダの
私も、今から水の魔術を準備してたんじゃ、絶対に間に合わない。
多分、メイが駆けつけたとしても、1人でドラゴン相手に敵うわけがないよね。
「ダメだ……どうして? 結局こうなっちゃうの?」
「まだ
そう言ったハヤトは、
すると、彼の右手の
だけど、そんな小さな弾がドラゴンに効くわけない。
案の定、彼の放った弾は、
「ハヤト!! マリッサ!!」
私達の場所に向かって駆けて来たメイと
もう何度目かの
アイオンの屋上に、赤く輝く光が立ち昇った。
「
すっかり暗くなりつつあった空に
突然の横やりに怒りを
助けが入った。それは明確。
それじゃあ、どこの誰が私達を助けてくれたの?
普通なら、そんな疑問が浮かぶんだろうけど、今の私の中に浮かんでこなかった。
なぜなら、その声も、その技も、よく見知ったモノだったから。
「……ナレッジ院長?」
アイオンの屋上にその姿を探してみるけど、どこにも見当たらない。
それがなんとも不気味で、助かったことへの
助けに来たのが、ナレッジじゃなければよかったのに、と。
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