第5話 美しくも猛々しい
茶色い
そんな、明らかに普通の人間とは違う
これはもう、あれだよな。
俺、別の世界に飛ばされたってことだよな?
正しくは、俺の住んでた
そう考えれば、ネットとかテレビを使えないのも
って、今はそんなこと考えてる場合じゃないんだ。
「すぐに手当てしてやるからな、ちょっとそこで待っててくれ」
「あ、は、はい」
どうして泣いてるのか、そんなのは考えるまでも無かった。
彼女が大事に
その子はきっと、彼女の家族、ってことだよな。
このスーパーがドラッグストア
って言っても、見たところ
「
そして、
「……そうだった、
そもそもバッテリーも底をつきそうだし。取り合えず、分かることだけでもやろう。
そう考えてすぐに引き返した俺は、不安げな表情の彼女と、どこか
……
「弟を、助けて」
小さな弟を
そんな彼女に
この子はもう、息をしてない。
彼女が大事そうに
当然、俺に何かができるわけないだろ?
「あの……」
「すまない。この子は、もう」
「……うそ、
そう
そりゃ当然だよな。目の前で、家族を失ったんだから。俺も、もっと
今の俺に出来ることは、何かあるか?
彼女を
いや、名前も知らないような奴に
あるとすれば、彼女自身のやけどの
でも……。
「ぅ……うぅ……」
動かない弟に顔を
まるで、何もかもを押し殺すような
そうして数時間が経った頃か、泣きつかれたのかようやく眠ったらしい
近くで話して、起こしてしまったら悪いからな。
「何もできなかったな……」
「仕方ないさ。彼女がここに来た時には
「……そうなのか?」
「あぁ」
「彼女自身も、かなり
「だな。でも、今はゆっくり休ませた方が良いだろう。
「
「それでも、だ。お前さんまで倒れたら、誰があの子を
「分かったよ」
エルフと出会ったあの日から、今日で4日目。
まだまだ分からないことだらけで、ただでさえ頭が
こんなところで
眠ろう。
固い床に寝転がって、そのまま目を閉じた俺は、何も考えないように努めた。
だけど、一向に眠気が
変だよな、仕事中はあんなに眠くなることが多いのに。
そうやって、しばらくの間寝付けない状況に俺が
カランッというその音は、何かが落ちた音かな?
何もいない。何も聞こえない。
真っ暗な店の中には、俺と
だけど、
「
「あぁ、何かいるぞ」
「あの子か?」
「分からん。でも、あの子とは違うニオイな気がするぞ」
そう言う
「とりあえず、あの子の所に戻ろう。魔物が入り込んだんなら、守ってやらないと」
「そうだな」
この数日の間で、暗闇の中で暮らすことに
それでも、こうして敵が近くにいるかもしれないとなれば、かなり怖いな。
なるべく音を立てないように、彼女が寝ているであろう場所に向かって、ゆっくりと進む。
距離はそれほど離れていないはずだ。あともう少し進めば、彼女が寝ている様子を確認できるはず。
そう思った俺は、直後、
「クゥン……クゥン……」
どこかで聞いたことあるような泣き声。
その鳴き声の方へ進んだ俺は、暗闇の中にうずくまってる巨大な影を目にした。
「クゥン……クゥン……」
大きな耳と
そんな様子を見た俺は、全ての事情を
「もしかして……あの子か?」
何の気なしに、
だけど、それがいけなかった。
ピクッと耳を
当然、ばっちり目を合わせてしまった俺は、すっかり狼のように
っていうか、真っ赤に
そんな俺をジーッと見つめて来る彼女も、
これってあれか?
「そ、そんなこと、無いよな?」
きっと、覚えてくれてるはずだ。
そう思って俺が一歩前に踏み出したその瞬間、彼女が明確に
「やばっ!!」
「逃げるぞ
でも多分、俺の足じゃ彼女から逃げれる
「くそっ!! ここで死ぬのか!?」
「
「アオォォォォォォン」
背後から彼女の遠吠えが追いかけて来る。
びりびりと
何事かと
その影は、
その声はきっと、どこまでも
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