3話目
時々、同じ夢を何度も見ることがあった。
夢は、私が20歳以降に見たものばかりであった。
何度も見る夢の8つ目は、以前住んでいた町をうろうろする夢である。
過去に長野県に住んでいたことがあった。
夢の中では、私が小学校高学年の頃に住んでいた地域と父親が勤めていた学校の前も何度か登場した。
そこを引っ越してから、かなり経つ頃にこの夢を見た。
この夢を見る意味もよく分からない。
夢の中では、以前住んでいた家を目指していたわけではなく、地域の入り口から見て、わざわざ地域の反対の方面に行こうとしていた。あとから気がつけば、そこは友だちの家の方角であった。
しかし、夢の中では自分の家はそっちじゃなかったと途中で気づいて、以前住んでいた家の方へと道を曲がっていった。
何度も見る夢の9つ目は、寝ていて人に触られている夢である。
夢のわりには、妙に生々しい感触が残っている夢がある。こういった夢を見る時は、非常に浅い眠りの時である。浅い眠りの時に自然に目覚めると、頭が自然とスッキリする。そして、目覚める直前の夢はよく覚えている。
夢の中では、小さい子どもが私の足元にくっついてきた。そして、仰向けで寝ている私の身体を登ってきた。この子の顔も姿も一切見てはいないが、必死に上へ上へと移動しているようだった。移動する速度が遅いからである。
あまりにも必死だったので、よしよしと子どもを撫でたくなった。
時々、夢を見ている最中に目を開けようとする時もある。目を開けると、そこには今まで見ていた夢とは全然違う現実が待っている。
そんな時は「あれは夢か…」と思いつつ、瞳を閉じて、また
あの子は誰だったのか。
それを確かめたく、再び、眠りの中に墜ちていく。
私の身体には誰かの感触が残っている。それをしっかりと感じながら、相手が誰なのかを思いながら、何度も何度も同じ夢を見たがってしまう。
多分、その子に出会って、夢の中の子どもだと理解できたのなら、この夢を見ることもなくなるだろう。その日が来るまで、時々、同じ夢を見てしまうのだろう。
あれは一体誰だったのか。肌の記憶を頼りに、今日も現実を送っている。
夢に見る夢 密(ひそか) @hisoka_m
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。夢に見る夢の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ルーブルの呪い/密(ひそか)
★0 エッセイ・ノンフィクション 完結済 1話
八重垣神社の鏡の池の縁占い/密(ひそか)
★0 エッセイ・ノンフィクション 完結済 1話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます