yagiです。
今回は私の企画に作品を提供していただきありがとうございます。
作品を読ませていただきました。
作品の内容としてはかつて横断歩道の事故で娘を亡くしたおじいさんが、それを機に横断歩道に立って子供に対して指導、そして安全に渡れるかを見守っていた。その子供の中に特に気に掛けている女の子がおり、その子は久しぶりに父親が帰ってくる事に浮足が立っており、信号をあまり見ずに飛び出してしまう。
そんな時にトラクターが横断歩道に入ってきて轢かれる事を予感したおじいさんは、身を挺して女の子を助ける。
お話の大まかな流れというのはこういうものだったと思います。
お話の流れ、キャラクター、すらすらと読める文というのが良く出来ている作品であると感じまいた!
墨田周五郎というキャラクターはやはり主人公という事もあり、一番キャラの作りが細かいと感じまいたね。名前から来る堅苦しさ、怒鳴りながら指導する様子、その言葉から不器用さであったり、根っこにある温かさであったり、色々と心情を想像することが出来る余地のあるキャラとしてよく出来ているなと思いました。
そんな周五郎さんは作中、一人の女の子に対して特に気に掛けている様子が伺えます。他の子供と違い、気難しいおじいさんにも健気に話しかけてくれる千絵ちゃんという女の子。
その子が登場した後に校舎から見ていた校長らがおじいさんの娘について言及していた事から、おじいさんはこの子の事をいつか亡くした自分の娘と重ねている事が伝わってきますね。
そしてこの作品の盛り上がりである、千絵ちゃんが飛び出してしまうシーン。その場にいた人間の誰よりも状況を冷静に判断していた周五郎さんは咄嗟に飛び出し、千絵ちゃんを抱きかかえ、父親の方へと投げ飛ばすという、七五歳とは思えないフィジカルを見せてくれました。
周五郎さんというキャラクターを話の最初に説明する場面で、がっしとしたガタイについて書いている事から、もしこういう場面に出くわした時に動けるように日頃から体を鍛えていたのではないでしょうか。
そこから垣間見える深い後悔や無力感というのが私の目には映りました。
娘を救えなかった後悔というのが、失った日から十数年ずっと続いていたとなると、それは「苦しい」なんてものでは済まないでしょう。
けれど今回の千絵ちゃんを救った事で、周五郎さんは報われたように感じました。
あの瞬間というのは自分の娘が目の前で亡くなるときの瞬間の再上映のような場面であり、その場面で救った事によってこれまでの努力と言うべきなのか、懺悔というべきなのか、そう言ったものが清算されたように感じました。
千絵ちゃんを救ったあの瞬間、彼女と一緒に周五郎さんも救われた。
これが私が解釈したこの物語です。
深読みと妄想が入り乱れているかもしれませんが、簡潔に言うととても良い作品だ! ブラボー!! という事です。
長々と書いてしまいましたね。
改めて私の企画に作品を提供していただきありがとうございまいた。
良き執筆ライフを!!
作者からの返信
コメントありがとうございます。
私自身が気づいていないようなところまで感じていただき、とてもうれしく思います。
桜企画にご参加いただきありがとうございます。
冒頭では頑固で言葉遣いのあまりよろしくない周五郎がこれからどんな失態を犯してしまうだろうと半ば心配してしまいましたが、それを遠くから見つめる校長の言葉や、子どもたちの横断補助をする生真面目な彼の態度に少しずつ読み手としての印象が変わっていきます。
そして千絵の危機を身を挺して守る場面ではスピード感に溢れる描写がなされていて読み手としても息を呑んでしまいました。
また校長のセリフがとても有効な伏線となっていて、それが明かされたラストでは盛大に舞い散る桜吹雪と周五郎の微笑みが目に浮かび感動しました。
子供達が事故に遭わないことを。
そして孤独な老いを迎えている周五郎に慎ましくも幸せな日々が続くことを願います。
素敵な作品を読ませていただきありがとうございました。
作者からの返信
コメントいただきありがとうございます。
短い作品ながらも強い意志や心情が表現できればと思っておりましたが、そのようなコメントをいただき、とてもうれしく思います。
初めましてハナビシトモエと申します。
この度はガチ短編企画にご参加いただきありがとうございました。
大変遅くなりましたが、感想を書かせていただきたいと思います。
しっかりガチは伝わりました。
周五郎は今回は守ることが出来て良かった。身をていして守ったかいもありましたね。本当に良かったです。
また機会があればよろしくお願いします。
作者からの返信
コメントありがとうございます。
伝わって良かったです。