19. ナディアの秘密のアジト
アジトの中のソファに身を沈める。
私は変装をしている。髪の色はブラウンで、カールをしている。太って見える。どこにでもいるようなおばさんに見える。おばさんは疲れたよ、といった感じでビルの一室にあるアジトに何食わぬ顔で入ってきた。
入り口という入り口が、高性能な鉄板で塞がれているので、ビルを破壊しようとでもしない限りは、決して侵入できない作りになっている。
ついさっきまで、とあるホテルの一室で、男二人組を後ろ手に縛り、膝まずかせ、二人の男の頭に彼らから奪った拳銃を向けていた。
男二人の額に汗がにじんでいた。
「私は本気よ。」銃をいつでも発射できるように身構え、白状させようとしていた。
私はおばさんではなく、別のもっと若めの別女性に変装して、脅していた。目的を敵に悟られてはならない。奴らのファミリービジネスの石油の利権を奪うことが目的のように装っていたが、本当は付随して手に入る情報を追っていた。結局、奴らの今週と来週の予定を聞き出せたので、窓から飛び降りて逃げた。
男たちは縛られているので、追ってはこれまい。
私は窓から飛び降りたように見せかけて、壁づたいに屋上に逃げ、そこから隣のビルに飛び移り、用意していた別の変装で逃げ去り、またおばさんの変装に変えて、アジトまでやってきた。
先日、ドバイの男から奪った新聞に書いた文字がどうも気になるのだ。浮かび上がった文字は、ある国の首相の認知症に関する報告書だった。特殊な薬品でいとも簡単に判断能力を奪える状況と記されていた。つまり、敢えて虚偽の情報を与え続ければ、いとも簡単に、意味不明な行動を強権を使って駆使できるということになる。
治療はさせないとも記載してあった。自分がおかしいと思わなければ、本人はそもそも調べようともしないはずだ。周囲が敢えて結託して、正常と本人に思わせれば。
私は事前に送り込んでいた弓・矢・と、高・性・能・銃・2・丁・と金・塊・3・本・を、注意深く身につけた。
ドバイに侵入してからというもの、私は水面下で動き続ける非公開の世界情勢により耳を尖らせていた。私がやりたいのは、因果応報の報いを犯人グループに与えること。しかし、それがもっと大きなうねりにつながっているのであれば、より注意深く行動しなければならない。
が、ここはひとまずやれることはやったので、ここで一休みにしよう。
ひとまずスパイ業の方は置いておいて、お楽しみと行きますか。
私は気晴らしに、衛星写真に映った場所の周辺をジャックと歩きまわることを本当に楽しみにしていた。そろそろホテルに戻ろう。束の間の休暇で、寝坊を楽しんでいるジャックももう起きた頃だ。
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