9. キングの乗り物

 最初の角を左に曲がった子供たちの横に、空中を飛ぶように走る銀色の流線型のものが横付けされた。


 「開け!」ダッカーが叫ぶと、流線型の乗り物のドアが開き、三人の子供たちは乗り込んだ。ピーターはサファイアが乗り込むのを手を差し出して手伝った。ダッカーは一番最後に飛び乗ろうとした。その時だ。


 何故か、勢い余って、後ろから走ってきたさっきの若い男性も飛び乗った。(颯介でーす)


「ええ?」


 幽霊キングのダッカーは驚いて思わず声を上げたが、一瞬迷っただけでダッカーもすかさず乗り込んだ。


 ダッカーが乗り込むと、流線型の乗り物のドアが閉まり、そのまま一気に空中に上昇した。そして、道路の少し高いところを、自動車が走っているところよりだいぶ上の空中を、静かに走り出した。


「何、これ!」レオは目を丸くして叫んだ。


「これは、ダッカーだけの特別な乗り物よ。ね、普通じゃないでしょう?」サファイアが言った。


「ちょっと、ダッカーさま、こちらの方はどなたでしょう?」突然、甲高い声がして、三人の子供たちは飛び上がるほど驚いた。


 後から勝手に乗り込んだ若い男性が一番驚いた。彼は数センチ後ろに飛び、腰を抜かしたように床にへたり込んだ。


 御者席のようなところがあり、そこに見たこともない灰色のものが座っていた。目と鼻と口はあるが、なんだかひどく様子が滑稽だ。綺麗なドレスを着ていた。


「みんな、こちらはエメラルだ。ロボットだよ。」ダッカーがその灰色のおかしな生き物を子供たちに紹介した。ダッカーはその妙なものがまるで家臣であるかのような調子で言った。

「エメラル、こちらはピーター、ジョージア、レオだ。サバンナから来たんだよ。」ダッカーが静かにエメラルに説明した。


 ロボットってなに?


「前を見ろ!エメラル!」ダッカーが突然すごい声で叫んだ。

 3人の子供たちとサファイアが前を見ると、流線型ののりものはいつの間にか高速スピードで飛んでいて真正面に大型トレーラーが迫ってきていた。ぶつかる寸前だった。3人の子供たちとサファイアは大きな悲鳴をあげた。


 床に腰を抜かして座り込んでいた若い男性も声にならない悲しげな悲鳴をあげた。


 3人の子供たちの目の前に巨大な四角のボタンが2つ現れた。



 左のボタンには「サバンナに戻ってリプレイ」、

 右のボタンには「龍者の国に進む。ライフ マイナス1」と書いてあった。

 

 注意)右に進むと龍と忍者の国に行ってタスクを消化してもらいます。



 そういう注意書きが空中に現れて、斜めに消えて行った。


 一体全体、何?

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