第62話 シルさん阻止作戦立案

「くるみちゃん、じょうくんはトイレでは無いわ」

ももさんが大胆なことを言い出した。


くるみと杏子先生とじんのは驚く。

一人だけ驚かない人物がいた。

あかねちゃんだ。


「おばさんの意見に賛成よ。あれはうそをついている男の行動ね」

さすが小説家。あかねちゃんは状況判断をしていた。


ももさんとあかねちゃんが自信を持って話している姿を見て他の三人は信じてしまう。


「じょうくんはなんでうそなんかついたのかな?」

くるみが素直に気になってしまう。


「それは私たちから抜け出したいからよ」

あかねちゃんの推理はドンピシャだ。


「どうして抜け出したいの?」


「じんのちゃんを残していることをかんがえるとVSJの中で何かが起こっているのよ。それがなにかはわからないけどこのケースだと女関係であることは間違いないわね」


「さすが小説家ね。私もその推理と一緒よ」

ももたんが探偵になったかのような仕草をして話に追従する。


「じゃあ、VSJがカギってこと?」

杏子先生も真剣に考え込んでいる。

今日の夜は俺との初めての夜の予定。

杏子先生からするとそれまでは変なハプニングは起こって欲しくは無い。


「VSJのHPを見てみましょう!」

みんなでももさんが取り出した画面の大きいePADを見つめる。


「あっ!」

声を発したのはじんのだった。


「ニャン銃士のイベントがある!いってみた~い」


「はぁ~」

他の女性陣はみんなため息をつく。

じんのにはいまの緊迫した状況が理解できないと思ったからだ。


「じんのちゃん、おにいちゃん見つけてから行こ~ね」

ももさんが大人の対応をして受け流そうとする。


「シルーもいる!シルちゃんもいた!」


!!

それに反応したのはももさんだった。

ももさんはニャン銃士の声優をしていることをしらない。

でもHPに小さく掲載されていたシルーの声優の写真は知っていた。

シルちゃんだ!


「これだ!」

ももさんが叫ぶ。


「どういうこと?もも」

杏子先生がすぐに反応する。


「このまえじょうくんの家でじょうくんの憧れのシルちゃんの話したこと覚えている?」

杏子先生とくるみは頷いている。


「あのシルちゃんが声優だって話したよね。そのシルちゃんがこれ」

そういって画面を拡大してシルさんを映し出す。


「かわいい...」

くるみがみとれてしまっている。


「これがうわさのシルちゃん」

杏子先生はゴクリとつばをのみこむ。


「シルちゃんはね、とーっても優しいんだよ」

じんのがシルさんを褒める。


かわいくて性格も良い。なんて強力なライバルなんだ。


あかねちゃんは状況を推測していまの起こっていることはもう想定し終わっている。


「そのシルってオバさんが私の一番のライバルってことね」

飲み込みの早いあかねちゃんはもう次の手もかんがえ始めている。


「さあ、どうする?」

ももさんがみんなをまとめようとする。


「私もシルさんと会ってみたい」

くるみは純粋にじょうくんが好きな人を見てみたいと思っていた。


「私はシルちゃんとじょうくんを会わせたくない」

杏子先生はいつもなら直接会ってみたいと言いそうなものを今回は言わなかった。

それは今日の夜を無事に迎えるためだ。


「私は断固阻止よ。会わせればそれだけややこしくなるわ。きっと」

あかねちゃんは実情をしらないながらも危険察知能力に長けていた。


「私はシルちゃんと何度かあったことあるからわかるけどあの子は小悪魔よ。無意識に男を虜にするの。私たちには百害あって一利なしよ」


シルさんと会うのを阻止する3対シルさんに会いたい1だ。

そこに乱入者が現れる。


「シルちゃんに会いたい!この握手会にじんのも参加する」


「じんのちゃん、いまからみんなでちがうアトラクション乗るからおにいちゃん見つけてそこにいこうね」

ももさんがシルさんとの密会を阻止するためにじんのにも手を打とうとする。


「やだ!それならじんのはおにいちゃんと一緒にニャン銃士に行ってくる!

みんなは乗りたいアトラクションに乗ってきてください」


中学2年生がそういうとだれも逆らえない。


「仕方ないわ。次の作戦よ。会うのは避けられないとして濃密なやりとりをさせなければいいのよ。私たちがにらみをきかせれば良いのよ」

あかねちゃんが次の手を打つ。


「そうね。まずはじょうくんを見つけて握手会にみんなで乗り込みましょう」

ももさんの提案に誰も逆らうことはなく受け入れた。


「じゃあ、じょうくんにでんわするね」

くるみが携帯を取り出した。


「ちょっとまって。くるみさん」

それを止めたのはあかねちゃんだった。


「どうしたの?あかねちゃん」


「先輩がどれくらいその人のことを好きなのか確認しておいた方が良いと思うの

先輩がどんな対応をするのか見守っておいて、危険水域だと判断したら阻止すればいいわ」


「たしかに。シルちゃんにはその気が無い可能性もあるしね。ここで完全にシルちゃんと切れた方が今後のためにも良いかもね。

それ、採用!」

ももさんもあかねちゃんの提案に乗っかった。


「じんのちゃん、ニャン銃士とシルちゃんに会えるようにするからお姉ちゃん達の言うこと聞いてくれる?」


「うん。きくぅ!」


「ニャン銃士はお兄ちゃんの近くで見るけど一緒には見ないの。お兄ちゃんとゲームしてて私たちはお兄ちゃんに見つかったら負けなの。いいかな?」


「いい!そのゲーム面白そう。じんのもばれないように頑張る」


ももさんは天才的だ。じんのを見事に言いくるめた。

あかねちゃんもこの女は侮れないと爪をかんでいる。


「じゃあ、ニャン銃士イベントに向かいましょう」


……………………………………………


あとがき


ついにこのイベントもクライマックスに近づいてきました♪


もうすぐ一章完です。

それに合わせて新作も登場しますのでぜひお楽しみに(^∇^)

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