第61話 まさかこんなところで………

たしかにイってしまった。くるみがあっちむくのも仕方ない。

それに未知にもこれは言えない。

誰か経由で伝わってしまったらどうしようかとかんがえてしまう。


「はぁ~、」

俺は無意識にため息をついてしまう。


「じょうくん、疲れちゃった?」

杏子先生がうれしそうに聞いてくる。

そりゃそうだ。イカした張本人は杏子先生だ。

誰よりも早くおれのモノを手にした人物だ。

そしておれの初めてを狙ってその確約をしているのも杏子先生だ。


股間がこすれてようやく気付く。

さっきの後処理が不十分でパンツが一部濡れてしまっている。

気持ちが悪い。

ネバッとしてヒヤッとするのがわかる。


「ごめん、ちょっとトイレに行きたい」

おれはトランクスは仕方ないがズボンに染み付く前に処理がしたかった。


「じゃあ、トイレ休憩にしよ」

こういうときはももさんがお姉さん的存在で仕切ってくれる。


「そこにトイレあるね」

ももさんはアプリでパーク地図を見ていた。


「ごめん、おれカバンに忘れ物あるから入り口の方のトイレに行ってきます」


さすがに結構な残りがしみこんでいて気持ちが悪い。

パンツを履き替えたい。

なぜパンツの替えがあるのかって?

それはおれがしっかりものだからだ。

いや、夢精した時用の予備だ。

いや、本当のことを言おう。

ハプニングをすこしは期待していたからだ。

ごめん、未知。おれはまだ決心が足りないのかもしれない。


そんなことをかんがえながら入り口のコインロッカーに向かった。

入り口はやはり混んでいる。

次から次へと人が流れてくる。


カバンから下着を取り出してロッカーに再度しまった。

履き替えた後の下着はそのままゴミ箱へポイだ。


(トイレ、トイレ、)

どこだ?アプリで探す。


近くにあった。


「えっ!」

男子トイレなのに個室は行列だ。

個室じゃないと着替えができない。

並ぶか。そう思ったが他のトイレも探してみる。


おっ、テーマパークの本部の端の方に一個トイレがある。

それも遊ぶところとは正反対だ。人が絶対に少ないはずだ。

おれはそっちに向かうことにする。


「ふぅ~。落ち着いた。やっぱ空いてて正解だ」

おれはトイレで着替えを済ませ、濡れてベトッとしてた下着はゴミ箱に捨てた。


おれはトイレの鏡の横にあった時計を見た。


「やべ、もう30分も経ってる」

慌ててみんなのいるところに走り出す。


バンッ!!


トイレの出た先で女の人とぶつかる。

「いったぁ~」

相手は尻餅をついて痛そうに下を向いていた。


「ごめんなさい!おれが不注意でした」

精一杯頭を下げて謝る。


飛び出した俺が完全に悪い。


「私は大丈夫ですからを顔を上げてください」


「ほんとうにごめんなさい」

そう言って起き上がるのを手伝おうと手を差し出す。


「ありがとうございます」

相手の女性も手を差し出す。


「あっ!!」

「えっ!!」


「じょうくん!」

「シルさん!」


「なんでここに?」

最後は二人して声がそろう。


「私、仕事で今日までここなんだ。じょうくんは?」


「おれはじんのをつれて遊びに来ました」


他の女性のことなんて言えるわけがない。


「相変わらず良いおにいちゃんね。

 あっ!出番の時間が...ごめんね。じょうくん。わたし行くね」


「あっ。はい」

返事もろくにできないままシルさんは走り去っていった。


まさかこんなところでシルさんと会えるとは。

やはりシルさんと出会うと心が一気にワクワクする。ドキドキもする。

(あ~、うれしいぃ!生シルさん、やっぱりかわいすぎる!)


俺は慌ててVSJのイベント情報を調べる。

ニャン銃士のイベントが2週間行われていた。

今日が最終日だ。

2週間前に新作アトラクションとしてニャン銃士が始まった。

その第一弾企画として声優とコラボしたイベントを催していた。


最終日は特別イベント『声優と握手会』とネットには告知されている。

もうすぐニャン銃士のアトラクションとのコラボイベント。

そのあとに声優との握手会が開催される。


おれはぜったいに握手会にいきたい!

ここを逃したらシルさんにまた会えない。


イッてしまった疲れも吹っ飛び、これからのことをかんがえ始める。


まずはみんなのところに戻ってからいかにして抜け出すか。

(よし、いまのこのじかんを利用しよう!)

そう思いながらまた走り出す。


...................


「おにいちゃん、遅い!」


「ごめん。みんなもごめんなさい」


「せんぱい、遅いです。おばさん達にいじめられてトイレで泣いてるのかとおもっちゃいました」

あかねちゃんはさっきのことを根に持っている。


「お姉さん達の魅力のせいでまた我慢できなくてトイレでしちゃったのね」

ももさんがあかねちゃんにイラッとしてやり返す。


「すいません。おなかが急に痛くなってトイレにこもっていました。

まだ調子が悪くてトイレに駆け込むかもしれません...」


「大丈夫?」

杏子先生とくるみが同時に俺の心配をする。


「いや、やばいかもしれない。みんなに悪いのでおれがトイレ行ったら気にせずにみんなでアトラクションに乗ってください」


「いいよ、心配だから私待ってるから」

くるみはいいやつだ。ほんとうに心配してくれている。


「いや、ほんとうに迷惑かけたくないからみんなでアトラクション乗って。おねがいだから」


「先生も心配。保護者として面倒見なくちゃ」


「いや、先生も大丈夫です。せっかくですから私以外で仲良くするチャンスです。ぜひみんなで楽しんでください」


「じょうくんがそこまで言っているんだから

じょうくんに負担かけないであげましょう。

じょうくんがトイレに行ったらまたあとで合流で」

ももさんは物わかりがいい。助かる。


「うっ!きた。おなか痛い...ごめん。先行って。

トイレ行ってくる」


おれはニャン銃士のイベントの方に走り出す。


「あっちのほうってトイレ有ったっけ?」

くるみは俺がおなかが痛すぎて正常な判断ができていないのではないかと心配した。



………………………………


あとがき


週間ランキングが

500位くらいでした。゚(゚´Д`゚)゚。


もうすぐ一章が完結するから

ここから読者が増えてほしいです☆


☆レビューや感想などぜひお願いします♪

新作も6月から始まる予定です。


そちらもぜひよろしくお願いします!

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