第60話 光のその先は………

トンネルの遠くその先に光が見える………


ついに大人の扉を開く時が来たのか。


「あぁ、神様………」


意識がもうろうとしている。


ガサガサ、ジーー、パッパッ


??


おれの股間がパンツとズボンにおさめられたぞ。チャックまで上げられた音がした。


両隣からは服を整えている音がする。


だんだん光が大きくなり明るくなる。


「お疲れ様でした。そのままこちらから降りてくださーい」


スタッフさんが大きな声を掛けてくる。


杏子先生もももさんも何事もなかったような顔をしている。


ももさんから手で背中を押し出されてカートから降りた。


あの光はゴールだったのか。

俺のゴールではなくてお化け屋敷のゴールだった。


「どうだった?じょうくん」

耳元で聞いてきたももさんの表情はワクワクしていた。


「すごかったです………」


「気持ちよかった?」


「……はい」


「次は私が本番だからね、わかった!?」


「………はい」


他の人に聞こえないように小さな声でささやきあう。


あんなことを経験したら煩悩に勝てるわけがない。あれ以上のことをしてくれるというのだ、

男の俺には抗う術はない。


いや、いや、おれには未知がいる。

約束したんだ。今日で決着をつけると。

こんなことで負けてたまるか。

1人で顔を横に振る。


「じょうくん、初めて舐められたのは気持ちよかった?」

今度は杏子先生が首を傾けながら小悪魔の笑みで聞いてくる。


「………はい」

うそはつけない。恥ずかしそうに答えてしまう。


「じゃあ、先生とエッチする?もっと気持ちいいよ?」


「………はい」

やっぱり煩悩には勝てなかった。


「じゃあ今日の夜うちにおいで」


「………はい」

鉄は熱いうちに打てとはよく言ったものだ。

あんな経験をした後には抗えないことを知っているのか、この先生は。大人の小悪魔でしかない。


いや、いや、ここで踏ん張らなければ!


「いや、先生、俺、行かないです」

俺は煩悩との戦いに勝利した。


「お口でするの、気持ちくなかった?」

上目遣いで大人なのに可愛い顔をしてくる。


「気持ちよかったです………」


「もういらない??」


「いや、ほしいです」

尻すぼみに声は小さくなるがうそはつけない。


「じゃ、決まりね。待ってるね」


「あっ!?お兄ちゃん、おかえりー」


じんのとくるみとあかねちゃんが楽しそうに待っていた。


「もう一つのお化け屋敷はどうだった?」

じんのが興味津々に聞いてくる。


「こわかった、おにいちゃん。恐ろしい悪魔が2人も現れたんだ」


「くるみちゃんの方も怖かったって言ってたけどそれ以上なの?」


「間違いないね、口は抑えられて声も出せず、腕と足はしっかり固定されてうごけなくなって悪魔に好きになされたままだったよ」


「カートのお化け屋敷なのにそんな手の込んだ仕組みなのね」

純粋なくるみは感心した様子だった。


「あんずちゃんやももちゃんは怖くなかったの?」

じんのはさらに質問をしてくる。


「私たちは怖くなかったかな、女同士仲良く手を組んで楽しんでたからね」


「へぇー、お兄ちゃんが怖がりなのね」


「杏子先生もももさんもお化けに強いんですね」

くるみが怖がりなだけに2人に感心している。

純粋すぎるぞ、くるみ。


「くるみさん、あなたバカなの?

今の言葉の意味を読み取りなさいよ」

あかねちゃんがくるみに向かって投げやりに言う。


「えっ?」


「だからあなたは出し抜かれるのよ。

 あれはお化け屋敷で大人の2人が先輩にあんなことやこんなことをして楽しんだってこと!

もう、イヤになったちゃう。大人ってズルすぎ」

さすがの有名作家。話を読み取る力は完璧だった。


「えっ!先生、ももさん、じょうくんに何かしたんですか?」

くるみは驚いた顔をしながら2人を見つめる。


「何もしてないよぉ〜」

杏子先生は口笛を吹いて明後日の方向を見ていた。


隠し方が下手!!

みんなが一瞬でそう思う。


「じょうくん、説明して」


「………」

おれはなんで答えればいいかわからない。

できればくるみはなるべく傷つけたくない。


「聞いて傷つくのはくるみちゃんよ。それでも聞くの?」

ももさんがカットインしてくる。


「はい」

くるみの表情は真剣そのものだ。

全てを受け入れる覚悟の現れだ。

むしろ訳のわからないオーラがくるみの後ろから立ち込めている。ももさんでさえ威圧されたようだ。


「そ、それは………」


「それは??」


「……… パクッとしてピュッよ」

ももさんは聞こえるか聞こえない音量で答えるのがやっとだった。


「パクッ?ピュ?」

くるみにはまだわからない。

あまりにもわからなくて恐ろしいオーラは消えてしまっている。


「もう!信じられない!私がしたかったのに!」

あかねちゃんは地団駄を踏んで悔しがっている。


「あかねちゃん?」

くるみとじんのだけは理解できなかったようだ。


「もう!ほんと鈍感ね。どっちかがお口でしてじょうくんがイッたのよ!ほんとくやしい!」

あかねちゃんはキーキー言っている。


「えっ!じょうくんの?………」


くるみはようやく理解した。

顔を一気に赤らめて下を向いてしまう。

くるみでさえも男がイクということは理解しているようだ。


「じょうくん、したの…………?」

くるみは下を向いたまま恥ずかしそうに聞いてくる。


「………い、いや………」


「じょうくん、嘘つくの下手だからすぐわかる。

そうなのね………」

そういうとくるみは後ろを向いてしまった。


………………………


あとがき


最近は☆が全く増えません(T ^ T)


まだの方、☆レビューよろしくお願いします。


もうすぐ6月です。

新作が初登場予定です♪

ぜひお楽しみに(´∀`)

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