第55話 VSJは6人!?

俺はじんのを連れて駅の改札に向かった。


「やっほーい、じょうくん!」

手を振っているももさんの明るい声が聞こえてくる。


ももさんはスラっとしたパンツに大きめの白いシャツを着ていた。男心をくすぐるような格好だ。


「こんにちわ。ももさん」


ももさんが俺にくっついてきている女の子に気がつく?

「その子は誰?お見送りか何か?」


「あっ、そうだ。言い忘れてました。

 俺の妹です。訳あって連れてきました」


「??………どういうこと??」


「説明しますね」

そう言って妹のことをいちから説明をした。


「なるほど。それじゃ、追い返すのはさすがにできないね」


「ついでにもう一つ言い忘れたことがあって………」


「ん!?次はなに?」


「やっほー、ももこ!」

遠くから杏子先生の声が聞こえてくる。


「なんで杏子がここにいるの!?」


「だってじょうくんを守るのは私たちよ」

くるみの姿も横にあった。くるみは丁寧に会釈をしている。


「じょうくん、どういうこと?」


「いや、この人たちも一緒に行くっていうこと聞かなくて」


「せーんっぱいっ!」

後ろから急に飛びつかれて抱きつかれた。


後ろを振り向くとそこにはあかねちゃんがいた。


「先輩とお泊まりしたくて来ちゃった」


「えっ?なんであかねちゃんまでいるの?」


「だって先輩が集合場所と時間言ってたから」


「それだけで一緒に行く理由になりません」


「でももう女の子が4人もいるじゃん、1人増えても問題なし」

あかねちゃんは空気が読めないのか読まないのかわからない。


「ちょっとじょうくん、どういうこと?

2人だけのVSJじゃないの?百歩譲ってじんのちゃんは仕方ないけどそれ以外は帰してよ」


「俺だってどうにもできなくて」


「泊まるとこだって2人分しかないし。チケットなんて今から取れないよ、あのテーマパークは」


「ももこ、安心しなさい!」

杏子先生が話に割り込んでくる。


「私たちのチケットもホテルももう用意してるから!」


「えっ!?どうやって?無理でしょそんなの。私だって半年前に予約できたのに」


「じょうくんのご両親が取ってくれたの。

 それもチケットだけじゃなくてホテルもよ。

スイートルームしか空いてなくて今回はそこなの!すごくない?ももこも一緒にスイートルームで泊まれるよ」


「ええ!スイートなんてすごく高いんじゃない?」


「ええ、高いですよ」

俺が答える。


「私も泊まれるってどういうこと?」


「外国の金持ち旅行客用の部屋なので人数制限はないんです。部屋数も多いのでみんなで泊まっても問題ないです」


ごくりっ………

「いったいいくらかかったの。そのへや?」


「たぶん300万くらいだと思います」


「とりあえずじょうくん、結婚しましょう」

ももこさんの目が本気だ。


「せんぱーい!じゃあ私も一緒に泊まれるね!」

あかねちゃんは満足げに話に割り込んでくる。


「あかねちゃんは呼んでません。帰りましょう」


シクシク………

あかねちゃんが涙目になって今にも泣き出しそうだ。


「あかねちゃん、だってみんなのこと知らないでしょ?」

俺はたしなめようと頭をなでる。


キランッ!あかねちゃの目が光る。

頭をなでられたことをいいことに俺に抱きついてくる。

そして演技の泣くふりをする。


1人だけ騙された子がいた。


「おにいちゃん、この子も連れて行ったあげて」

まさかのじんのの援護射撃。


「いや、でも………」


「だって泣いてるんだよ。おにいちゃは優しくないとダメ」


「わ、わかった」


俺の胸にうずくまっているあかねちゃんからニヤッとしている顔がのぞき見える。


「やったー!先輩の隣は私がゲット!」


杏子先生、くるみ、ももこさんはみんな予期せぬ来客にピクピク苛立っている。


杏子先生とくるみからすると未知という強力なライバルがいない。おれと未知が付き合うことになったにも関わらずそれを知らない。だからここで差をつけるチャンスだと思っている。



「提案があります」

くるみが出発前に場をおさめるための提案をしてくれた。


「1、みんなで仲良くしましょう

 2、じょうくんのとなりはじんのちゃん

 3、もう一つの隣は順番制

 4、残った女子は仲良くすごす」


「くるみ、その提案がいい!」

俺にとっては助かる提案だ。女子同士のいざこざは面倒だ。

それにじんのがひと枠確保なら気が楽だ。


「他の皆さんはいかがですか?」


これから1泊2日、みんなは楽しみたいという気持ちもあったのだろう、問題なく可決された。


新幹線では予期せぬことが起こった。

めんどくさい視線が絶え間なく俺を襲ったのだ。


3人席を向かい合わせにして6人で座った。

俺は真ん中の席に座らされ、隣はじんの、

そして俺の隣は順番でももこさん、

向かいにはくるみと杏子先生とあかねちゃん。


じんのは中学2年生、それも妹キャラのアイドルにいそうなほど可愛い顔をしている。


あかねちゃんは高校1年生、じんの並みに背が低いが一見するとツンデレな大人びた綺麗な顔をしている。気の強そうな美少女だ。


くるみは誰が見ても清楚な可愛い生徒会長のような顔をした女の子だ。日本男児が1番好きそうな顔といえばくるみだろう。


杏子先生はスタイルが1番いい、顔も童顔でかわいい。化粧もしているからももこさん以外の女性とは雰囲気がやはり違う。話し方や仕草は男を勘違いさせる女性だ。


ももさんはダントツで綺麗でエロい。顔も格好も男を誘惑するには1番向いている女性だ。下心のある男はももさんに目が行くだろう。


要するにここには、美少女と美女しかいないのだ。

さらに年齢も中学生、高校生、杏子先生は大学生に見えるだろう、そして大人。レパートリーも豊富だ。


通路を通る男も女もこちらを二度見する。

男によっては二度見したあと、ハーレム状態の俺をにらみつけるやつもいる。


そりゃそうだ、じんのも腕をつかむし、ももさんも胸の空いた洋服で見せブラが見えているだけでなくその胸を俺に押し付けている。


くるみとあかねちゃんは完敗ですと白旗を挙げているようだ。


ここに未知がいなくて本当によかった。

こんなところ見られたらまた機嫌を悪くする………


でもこれはまだ未知との関係を壊す序章でしかなかった………



…………………………


あとがき


久しく週間ランキングにお見えしてません。


どなたか☆レビューをお願いします♪


もうすぐ新作の投入です!

題名はまだ試行錯誤中ですがラブコメです。

ぜひそちらも一緒にご覧ください☆

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