第53話 初めての部屋
「未知、傘って2本あったりする?」
「この一本しかないんだ」
未知は学校の玄関先で自分の傘を見つめながら答える。
「そうだよね」
「傘持ってないの?」
「うん、さっき貸しちゃったからね」
「一本しか持ってないのに貸したの?」
「くるみが風邪ひくと思ったから。それに雨がこんな強くなると思ってなかったし」
「もう………、ちょっとやきもち」
それでも未知はじょうのそういう優しさに改めて好感をもった。そしてそれを知らずに傘を借りたくるみが少しうらやましかった。
「えっ!?やきもちやくの?未知」
「だってくるみさんにやさしいんだもん」
「じゃあ、未知にだけ優しくすればいい?」
「いやかな………他の人にも優しいじょうくんが好きかも」
「おれ、そういうふうに思ってくれる未知が好きだな」
「もうっ。いじわる………」
未知はちょっと顔を赤らめてうれしそうにする。
「ねえ、じょうくん、一緒に入る?」
「本当に?」
「うん、いいよ。じょうくんの家まで送ってあげるよ」
「いや、それは悪いよ。遠いし。
未知の家まで行っていい?そのあと傘そのまま貸してよ?」
「えっ、でも遠いよ?」
「いいの。未知と一緒の傘に入れるなら、ね?」
「わかった……じゃあ、帰ろっか?」
俺は傘を持って未知が濡れないように気を遣いながら一緒に帰った。
「未知、この前はごめんね」
「もういいよ………もうあんなことしない?」
「しないよ、絶対」
「それならちょっと許す」
「えぇー!全部じゃなくて、ちょっと?」
「あれだけのことを簡単に許してもらえるなんて思ってるの?」
「思ってません。本当にごめんなさい」
「これからの態度で示しなさい」
少しずつだが未知に明るさが戻ってきている。
未知のアパートの前に着く。
未知は自分の部屋だけでなく、杏子先生の部屋も見ていた。
あの日の出来事がまだ頭をかすめているようだ。
「未知、ごめんな」
おれは無意識に声が出ていた。
「ううん、気にしないで。私が勝手に気にしたことだから」
「玄関先まで送るよ」
「うん」
カンカンカン
錆びた階段を登る音がひびく。
「ありがとう、じょうくん、傘持ってくれて」
「こっちこそありがとね」
俺の肩に未知の目がとまる。
左肩だけびしょ濡れだ。
(大雨の中で相合い傘をしていたから?
いや、違う、私はそんなに濡れていない……
私が濡れないように気をつかってくれていたからだ。やっぱりじょうくんは優しい)
おれは振り返って帰ろうとした。
「待って!」
俺が振り返る。
「どうした?」
「うち、上がっていかない?」
「えっ………」
おれは戸惑った。それを期待しなかったといえば嘘になる。
でも未知を裏切ったばかりの俺にはそんなことは起こらないと思っていた。
「じょうくん、肩がびしょ濡れ。
風邪ひいちゃうから部屋入って」
「うん」
おれはコクリとだけ頷いた。
「隣の部屋は覗かないでね。お姉ちゃんと一緒に使ってる部屋だからね」
そう言いながら扉を閉める未知。
「まずは服脱いで、いい?」
「いいけど脱いでいいの?」
「風邪ひいちゃうでしょ。まずはふきましょう」
おれは未知の言う通りにシャツを脱いだ。
「えっ!?じょうくん………」
「やっぱ男の裸は嫌だよね?」
「ううん、違うの。じょうくんの身体が男らしくてつい………」
俺の体型はどちらかというと細身だ。
スポーツはしていないけど昔から体育は得意で
比較的筋肉質だ。
「後ろ向いて、身体拭いてあげるから」
「いいよ、自分でふくから」
「私のせいだからふきたいの………」
おれは仕方なく後ろを向いた。
優しくそっと拭いてくれる。
一瞬だった。
でもなんともむずがゆい気がした。
タオル越しから触れる未知の指が背中に残る。
「じゃあ、前向いて」
振り返ると思いのほか近くに未知がいた。
肩越しからタオルで身体を拭いてくれる。
未知の顔は俺の胸元にある。
未知の手が俺の胸を拭き終えた。
未知の手が止まる。
「じょうくん………」
未知が俺を見上げてる。
未知と目が合う。
未知の手が俺の背中に回る。
未知の顔が俺の胸にうずまる。
「未知………」
「ちょっとだけ………いい?」
俺は未知の頭をなてであげる。
いいよ、と了解の意思を示す。
未知の手が俺の背中を噛み締めるように動く。
俺の手も未知の腰に手を回す。
未知が胸に埋めた顔を上に見上げる。
「………」
お互いキスを意識したようだ。
「じょうくん………」
未知は目を閉じた。
未知と唇が重なる。
未知の手に力が入る。
未知の唇が徐々に開き始めた。
俺は未知の上唇に俺の唇を重ねた。
「ぁっ、」
未知の声がもれる。
今度は未知の下唇にキスをする。
「んっ、」
未知の声が再びもれる。
未知の爪が俺の背中に立つ。
痛くはない。
でも未知が感じている証拠に思えた。
今度は未知が俺の下唇を吸う。
未知は俺を堪能するかのように吸い付いてくる。
未知に求められている。そう感じるようなキスだ。
俺は未知の上唇を舌先で舐めた。
お互いの唾液が絡まり妙に興奮した。
未知の舌が俺の舌先に触れる。
俺は未知の上唇と下唇をヌルッとかき分けて舌を入れ込む。
未知の舌がクネクネと動いて絡まる。
未知が俺の舌を吸いつく。
未知に口の中で舌を吸われると妙に気持ちいい感じがする。
息が続かない。
舌を未知の中から抜き取る。
唾液が舌に絡まるのがわかる。
未知が追いかけてキスをしてくる。
(!!)
「んんっ」
おれは声が出てしまう。
ヌルッと俺の唇を掻き分けて未知の舌が入り込んでくる。
入り込むこの感覚が妙にいやらしく興奮してしまう。
俺は未知の濡れた舌先が愛おしかった。
俺は未知の舌を舐めながら吸い付く。
舌先が触れ合うのと吸い付くのでは大きく感覚が違った。
どちらも興奮する。それは未知も同じなのだろう。
未知は息ができないのか俺の口の中から舌を抜く。
俺は未知の舌を追いかける。
強引に未知の口の中に舌を入れ込む。
「んん………」
未知の手に力が入り俺の背中で指を立てる。
俺の手が未知の背中からお尻におりる。
「ぁ………」
未知の喘ぐ声がもれる。
未知の口から舌を離す。
お互いの舌先から糸が垂れる。
「はぁ、はぁ、はぁ」
未知は興奮して顔がエロくなっている。
俺は未知の首筋にキスをする。
「あん………あっ」
未知は手を背中から肩に抱き抱えるように回す。
未知の耳にキスをする。
「あぁん」
未知の声が大きくなる。
そして俺の手が未知のキャミソールの中に入る………
…………………………
あとがき
PVも週間ランキングもかなり下がってきてます。゚(゚´Д`゚)゚。
注目作品に載らないと厳しいですね🤣
ここ数日☆レビューを頂いていないのが1番の痛手かもです。
だれかまだの方でお優しい方、
ご協力よろしくお願いします^_^
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