第48話 未知との関係おわた………
ピンポーン!ピンポーン!
俺と先生は固まる。
この時間になぜ??
インターホンがなぜなる!?
2人して目を合わせる。
こういう時はなぜか2人して静かにしなければならないと思ってしまうものだ。
ピタッと動かない2人。
ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン
インターホンが鳴り止まない。
「先生、おれが様子見てきましょうか?」
「私が行くわ。ドア閉めたまま様子見てみるから」
「はい」
できる限りの小声で話し合う。
先生はシーツを身体に巻き付け玄関近くまで
そーっといく。
ピンポーン、ピンポーン、
しつこく鳴り続ける。
「はい?」
先生はドアの向こうにいるだろう人間に声をかけた。
「隣の者ですが、いい加減にしてください。
深夜にトントントントン、何かを叩きつける
音、挙げ句の果てには男と女の喘ぎ声が
聞こえてます。常識がないんですか?」
玄関の外から女性の怒った声が聞こえてくる。
怒ってはいるが落ち着いたような口調である。
「すいません、本当にすいません」
杏子は恥ずかしながらも教職に関わる人間としての責任感からなのかちゃんと謝罪しなければと思う。
相手は女性、この格好でも謝ることを優先させた。
ガチャ、扉を開ける。
「本当にすいません」
扉を開けるとともに頭を下げる。
「以後気をつけていただければ結構です」
「はい、わかりました!」
杏子は顔を上げる。
!!!
「えっ!!!」
「杏子先生!」
「みっちー!」
インターホンを鳴らしていたのは未知さんだった。
「みっちー、どうしてここに?」
「いや、だって隣が私の家なんで」
「え!お隣さんなの?
ごめんね、音うるさかったよね、
ほんとごめん」
「先生が大きな声出そうが自由ですが時間を
選んでください」
「はい、言葉もありません」
「もういいので私は部屋に戻ります。
先生も男の人とどうぞ楽しんでください」
未知は先生がどんな男を連れ込んでいるのか気になる。じょうくんは私を選んでくれた。じょうくんのはずはないと思い込んでいる。杏子先生の玄関を離れる前に奥の方をチラッとみるが
男はいない。視線が靴の方へ動く。
「!!」
白に青のラインの見たことのあるシューズ。
「先生!ちょっと失礼します」
未知は扉をガッと開けて先生を押し退けて中に入る。
「みっちー?」
先生は驚いて未知さんを目線で追いかける。
未知はリビングに人がいないと判断した。
隣の部屋だ!
未知はその扉を開ける。
「!!」
俺と未知さんは目が合う。
俺は下半身が丸出しのままだった。
それが隠れていたとしてもこの状況では
言い訳は一切できないだろう。
未知はそのまま近づいてきた。
「バチンッ!!」
未知は思いっきり俺のほおを引っ叩いた。
痛い!この前叩かれたのとは全く違う痛さがあった。本当に怒った時の平手打ちだ。
ほおも心も引っぱたかれてジンジンする。
「パチンッ!!」
もう一回思いっきり引っ叩かれる。
「最低………」
聞こえるか聞こえない声で未知はつぶやいた。
クルッと振り返り、スッと自分の部屋に帰っていった。
俺は叩かれたほおを自分の手で抑えることしかできなかった。
「じょうくん、大丈夫?」
杏子先生が心配そうに俺に寄り添ってくる。
「先生、俺、とりあえず帰りますね」
「うん、わかった」
杏子先生はそういうしかなかった。
俺は服を着てそのまま自宅に帰った。
次の日、俺はゆううつだったが学校には行った。ずっと考えることは未知のことだ。
未知になんて話しかければいいかわからない。
結局何も浮かばないまま放課後になる。
未知に会いたいけど合わす顔もない。
それでも部室に向かう。
部室にはくるみがいた。
「おつかれ、じょうくん」
「おう、お疲れ、未知さんと先生はまだ?」
「さっきLIMEがあって2人とも今日は来れないって」
「そっか………2人だけだし帰るか?」
「新入生勧誘のチラシ作ったりしない?
もう作らないと間に合わないし、
未知さんはそういうの作らなそうだし」
「確かに。もうそんな時期なんだね。
ちゃっちゃっと作って早く帰ろうぜ」
俺は未知と杏子先生のことを考えると部室にいるのがつらかった。少しでも早くここから離れたかった。だからチラシはかなりのスピードで作り上げた。
「チラシもある程度できたし、おれ、帰るわ」
「待って、久しぶりにお茶でもしにいかない?」
くるみが恥ずかしそうに俺を誘う。
「ごめん、おれ今日は早く帰らなきゃいけなくて」
用事もないのに断りを入れる。
くるみと仲良くおしゃべりをするような心境ではない。
「ううん、こっちこそ急に誘ってごめんね。
今度誘っていい?」
「もちろん、じゃあ帰るわ」
「バイバイ、じょうくん」
くるみの言葉は徐々に力なくなっていった。
帰り道の公園でまたあの光景に出会う。
「やめてください!」
……………………………
あとがき
6月から新作も同時並行で投稿する予定です!
ぜひこの作品と一緒にお読みいただければうれしいです☆
応援と☆レビュー(コメント付き)をぜひよろしくお願いします。゚(゚´Д`゚)゚。
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