第315話 マン・マイナス―キャラクター
人間の能力を何らかの方法で強化したのが強化人間。英語ではHuman Plusと表記されることが多いそうです。
色々な創作、特にSF系で出てくることが多いのですけど、強化方法の反動が酷いとか、普通の人間から排斥されるとか扱いが悪いことがしばしば。まあ、強化人間側も「能力の優れている自分たちが支配者になるべき」なんて優勢思想になってしまう事も多いのですが。
社会全体で見ると、強化人間という能力の高い個人が増えるのはプラスでも、社会の分断が進むマイナスよりは小さいんじゃないかなという気もします。
となると、強化人間という「人間以上」のカテゴリを排斥対象にしないためのガス抜き役がいれば良いのでは、と。
実務能力ではなく、コミュ力特化型。完全にダメダメだとちょっと困りますが、平凡かつちょっと性格的に抜けてる愛されキャラな感じの強化人間。マン・プラスに対抗してマン・マイナスとでもいうか。
「高い能力に設定された強化人間が社会の美味しい所を握って、俺たち普通の人間に害を与えているんだ!」
と反強化人間活動家が力説しても
「えー、確かにすっごい強化人間っているけどさ。俺の職場の強化人間の佐藤さん、割と普通だし、なんなら時々ドジもするし。話してても普通に良い人なんだよね」
みたいな一般人が多ければ、社会全体として強化人間排斥には向かわないだろうという狙いですね。
ただ、マン・マイナス氏視点で見ると、これはこれで酷な役目。
「あなたは意図的に低めの能力に設計されています」ですからね。私なら絶対言われたくない。
しかし、社会に必要であると理解して誇りをもって役割をこなしているとすると、それはちょっとウルっときちゃうかも。『HELLSING』のペンウッド卿的な。
○○○
「こんな、こんな事が許されていいのか! 我々人造人間は、高い能力を生かし人間社会を改革するために存在するのだ! あえて無能に作り、それに耐えろなどと」
「そうでしょうか? 考えようによっては、私ほど幸福な任務を与えられた強化人間はいません」
彼には理解できまい。
そう分かっていながらも、佐藤は微笑みを作り、胸を張る。
最高級の能力と、それを発揮する立場を与えられた彼は、それゆえに普通の人間の普通の嫉妬を理解できない。それを踏みにじり続けた時の危険性も。
「私の任務は、愛されることなんですから」
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