第305話 安楽寺の二龍ーストーリー
南京博物院の「羽人戯龍磚画」という絵。積み上げたレンガの壁に龍が彫刻されているのですが、その中の一つのレンガのところで絵の線が微妙にずれていると話題だそうで。
有志の検証によると、そのレンガを180度回転させてやると上手く線が繋がるとのこと。
多分、分解して博物院に運んだあと、組み立て直すときにミスったんだろうなと思われますが、
「正しく組み立てると龍が飛んで行ってしまう、と昔の人が思ってたのでは?」
というコメントがあり。画竜点睛の故事も実は南京が舞台なので、ちょっと説得力があるかも?
画竜点睛の故事は以下のような内容。
張僧繇という5,6世紀の画家が金陵(現在の南京)の安楽寺に四匹の白龍を描いたのですが、瞳を描いていない。
何故瞳を描かないのかと問い詰めると、瞳を描いたら飛んで行っちゃうよとのお答え。
納得いかない人々が「いいから描けよ」と説得し、張がしぶしぶ瞳を描きいれると、
瞳を描かれた二匹の龍は本当に絵から抜け出して飛んで行ってしまった。
瞳の描かれなかった二匹の龍は今も絵に残っている。
まあ、『今も残っている』の今はこの話が載っている『歴代名画記』が書かれた時なので9世紀半ば。
21世紀の現在は……残ってなさそう? 少なくとも南京市の公式観光サイトには載ってませんでした。残ってたら、結構な観光スポットになりそうなのに。
さて故事の方を改めて考えると、一人で二匹の龍に同時に瞳を描くのは難しいから一匹ずつ描いたと思うのです。
とすると、一匹目は二匹目に瞳が描かれるまで飛ぶのを待ってたってこと。でも、三匹目と四匹目は待たなかった。
何か人間関係ならぬ龍間関係がありそうですね。
何故瞳を描かれた二匹は二匹だけで飛んで行ってしまったのか。
残された三匹目と四匹目は何を思うのか……
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