第267話 クリスマスイブー創作論

 今もキリスト教の教会暦では日没で日付が切り替わるそうで。

 つまり、普通の人が12月24日の夜だと思っている時点で、教会的にはもう12月25日。

 クリスマス・イブとは「クリスマス前夜」ではなく「クリスマスの夜」なのです。

 逆に言うと、25日の日没後に「まだクリスマスだし」と言ってお祝いするのとか、23日をイブイブと言ったりするのとかは教会暦的には間違いなわけですね。……一般日本人は教会暦なんて気にしないという正論はさておき。


 「太陽が沈んだら新しい日が始まる」と言われるとちょっと違和感がありますが「太陽が沈むと1日が終わる」と言われると何となく納得。

 でも、「太陽が昇ると新しい1日が始まる」の方が納得しやすいかな?

 現代の時制だと夜中のある時点で切り替わっているわけですけど、これってかなり人工的で不思議な感じもします。

 

 キリスト教と言えば、聖書に「一粒の麦、地に落ちて死なずば、ただ一つにてあらん、もし死なば多くの実を結ぶべし」(ヨハネによる福音書第12章第24節)という言葉もあります。

 でも、地に落ちた麦は死ぬのではなく、元気に生きて育つんですよね。一つの個体としての麦が死ぬのは、むしろ実を結んで刈り取られた後なわけで。

 ただ、食べられる状態ではなくなるので、そういう意味では死んだように見えるというのも分からなくはなく。


 回るサイクルのどこを始まりや終わりと取るかの問題なので、違う意見でもまるっきり間違っているとは言いにくい。

 逆に言えば、どこが始まりかの意識を変えることで違うものが見えてくるかもしれません。


 まあ、そんな感じで皆さん、良いクリスマスをお過ごしください。

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