第262話 お客様は神様ですがーストーリー

「お客様は神様です。ええ、もちろん。……ところで、お客様」


 店長はそこで言葉を切り、スターターロープを引く。

 始めはゆっくり、途中からは素早く。

 眠りから覚めたエンジンが大きく吠えた。

 店長がもう一度ロープを引くと、エンジンはごろごろとうなりをあげ、ガソリンの臭いを吐きだす。


「『魔界塔士 Sa・Ga』というゲームをご存じでしょうか」


 無骨な手がチェーンブレーキを外し、スロットルレバーに親指がかかる。

 それを引きさえすれば、チェーンに取り付けられた刃が猛回転を始めるだろう。


 クレーマーの顔が、面白いほどに青ざめた。


***


 神が相手だからと言って、何でも言うこと聞かなきゃいけないわけじゃないよねーと。

 一神教ならともかく、こちとらバリバリの多神教。人に害をなす神は打倒してよいのです。

 普通にやると敵わないので捧げもので懐柔することの方が多いですけど、捧げものも無制限にあるわけではないので、ね。


 そんなことを考えて、神殺しといえばチェーンソーだよねと思って書いたのが上のワンシーン。

 現実世界でクレーマー相手にチェーンソー持ち出したらそっちの方が犯罪。しかし、ある程度現実準拠でないと元ネタのゲーム自体が無いので使いどころが難しいですね。

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