第254話 機械翻訳ーガジェット

 仕事で英語文書を作ることが時々あります。

 しかし、日本語ばかりの環境下で育ってきたから脳内で思考する言語は日本語。

 簡単な受け答えならともかく、複雑な内容はやはり一旦日本語で考えて英訳するしかありません。

 なので、

  ①考えたことを翻訳しやすい日本語文で書く

  ②Google翻訳につっこむ

  ③出てきた英文の内容をチェックして表記ブレやおかしな所を直していく

 という形でやるのが、私にとっては一番早いのです。


 ここで大事なのは①の翻訳しやすい日本語文で書くこと。

 これは、ある種のセンスがいるなと感じたのが、妻と私の家族を合わせた時。

 私の妻はまだ日本語勉強中なので、家族にはあらかじめ「スマホに翻訳アプリ入れとくといいよ」と言っておいたのです。

 これを使わせてみると、父より弟の方が翻訳しやすい言い方をするのは上手いのですね。パソコンしっかり使いこなせる父の方がまだ弟よりも英文に触れる頻度も多いはずなんですが。

 英語の授業で使われる、正しいけれども自然ではない感じのお堅い文章のほうが翻訳はしやすいので、英語への慣れが同程度だと学生に近い方が有利なのかもしれません。


 いずれにせよ、翻訳しやすい日本語文と小説として自然な日本語文とはまるで異なります。

 そのあたりをまるで考えずに、日本語で書いた小説をGoogle翻訳にぶち込んでそのまま「英訳しました!」と言って出しているのを読んだことがありますが……

「ある男が、怖い夢を見て夜中に目を覚まし、冷や汗をぬぐう」という話が「彼女が怖い夢を見たので私は目を覚まし、彼女の汗をぬぐってやった」になってて。

 明らかに間違いなんですが、これはこれで意味が通るのがちょっと面白い。

 日本語は主語を抜く方が自然。英訳の時には主語を補うわけですが……、補う第一候補が『私』になるのは分かるけど、なんで『彼女』が出てきたんだろ?


 小説を上手に翻訳をするのはとても難しいのですが、ちょっとおかしな翻訳もそれはそれで面白いと思うのですよね。

 日本語翻訳の変になっているもの、とかも結構ネタ的な意味で需要があるようですし。最近だとアパレルの「極度乾燥しなさい」とか。


 銀河帝国に最近加入した星の出身なので、まだ標準翻訳機ではうまく翻訳されない、とかそんな設定をつけておかしな翻訳文でしゃべるキャラ、なんてのを出してみたいですね。

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