第251話 時差の話ーガジェット
そろそろ会社勤めの方はボーナス時期。
私も会社も今日がボーナス支給日でした。
うちの会社では毎回、社長から「今期は社会の状況がこうで、これぐらい会社が儲かったから、ボーナスはこの額になりました」というようなメッセージが出ます。それを部長が部員らに代読するするのが慣例なのですけど、今回うちの部長は米国出張中。
掲示板貼り付けか、帰ってきてからのどっちかだろうなーと思っていたら、部長から「ZOOMでやるから」とのメッセージ。
……時差は大丈夫かと。まあ、計算すると部長としてはちょっと残業ぐらいの時間なのでそれほどおかしなレベルではなかったので一安心ですが。
まあ、そんなこんなで時差のお話です。
日本ではあまり気にする必要も無いのですけど、私の場合は妻がタイ人ですから、タイの家族と電話する時はいつも意識します。
仕事でも、「米国のお客とWeb会議するから、夜9時によろしく!」とか「米国のお客が欧州の下請けとWeb会議するんだけど、出れる?」とか振られることがありますし。
前者は頑張りますけど、後者は無理。それ絶対日本の深夜ですよね。
地球が丸いからこんなことになるんだ。
現実世界で時差が意識されるようになったのは大航海時代の頃。
経度を知るためには時差が分かればいい、という論文をあのガリレオが書き残しているそうで。16世紀末の話ですね。
ただ、当時の時計は平らな地面に普通に置いておいても1日10分ぐらいズレる代物だったので、理論は分かるが実用できない状態。
なので、国を挙げて天文台を作って研究させたり、何億円レベルの懸賞金をかけて精度のいい時計を作らせたりという事をして、実用レベルに到達したのが18世紀前半。イギリスが世界帝国になれたのも、この精度のいい時計の開発に成功したことが理由の一つだとか。
この時代でも、時差を気にするのは外洋航海する人たちだけ。一般人が気にするようになったのはさらに19世紀に入り、鉄道網が整備されてから。
それまでは、各街ごとに基準の時計があって、それぞれ自分の住居の近くの時計に合わせて生活していたわけです。
しかし、誰でも長距離移動できるようになってくると次の駅に着くたびに時計を合わせ直すなんてやってられないわけで。
「じゃあもう、鉄道は全部、同じ時間に合わせた時計で動こうぜ」となってこれが標準時という考え方になったと。
さらに、「これを地球全体に広げようぜ。360度を24時間で割って、経度15度ごとに1時間違うようにすればいいじゃん」となったのが19世紀の終わりごろで、現在の時差に繋がります。
この辺りの経緯を踏まえてファンタジー世界での時差を考えると……
そもそも時差があるかは微妙なところですね。平らな世界なら時差は発生しないでしょうし。
物理的に時差自体は存在するとして、時計が使われているか、遠距離移動するかあたりが時差を意識するかどうかの分かれ目になってくると思います。
大航海時代っぽく、遠距離移動の専門家たちの秘伝知識みたいにするのも面白いかもしれません。
拙作『魔女と聖女はすれ違う』でも、時差を描写に取り入れようかどうかは迷い中。
東方領にいる主人公が西王国にいる使い魔と感覚共有した際に、主人公としては昼過ぎなのに使い魔の方はまだ午前、みたいなことが起こっても良いのですよね。
時差を利用したギミックを考えついたら、入れてみようと思います。
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