第249話 妖精コティン―キャラクター

 子供のころから本を読むのが好きだった私。

 そのため、小学生の頃は、オカルトにも結構関心がありました。

 なにせ、まだノストラダムスの予言が外れるかどうかも分からないころ。結構子供向けにそういうオカルト本が出ていて、小学校の図書室とかにも置いてあったのです。

 なので、「アダムとイブは身長6mぐらいの巨人だったんだよ!」みたいなのを読んでは、素直に「へー、そうなんだ」と受け入れて覚え込んでいたのですね。


 それが変わったのは、図書館であるオカルト本を読んだことでした。

 タイトルは全く覚えていないのですが、最初の方のカラーページに妖精の写真が載っていたのです。

 あのアーサー・コナン・ドイルが本物と認めた妖精の写真だ、とあおり文句が付けてあるのですが、

(……これ、どう見ても紙じゃん)

 もちろんコナン・ドイルがシャーロック・ホームズの作者であることは知っていたわけで。あの頭脳明晰な名探偵の話を書いた人が、明らかに紙に描いた妖精を切り抜いて撮影した写真に騙されるとも思えず。

 しばらくいろんな角度からそのページを眺めてみましたが、それでも私には本物の妖精のようには見えなかったので、諦めて本を読み進めることにしました。


 この写真、コティングリー妖精事件としてWikipediaにも記事があったりします。英語版だと私が見たのと同じ写真も掲載されてます。

 結果的にはやはり偽物なんですね。子供が絵本の妖精を模写して切り抜き、それと一緒に写真を撮っただけのチープなものなのですが、20世紀前半のイギリスでは本物か偽物かで大人たちが真面目に論争したそうで。

 コナン・ドイルが本物側の論者だったのも本当の話。まあ、本気で信じ込んでいたというよりは、子供がこんな写真取れないだろうという思考だったという話もありますが。


 そんなこんなで、素直にオカルト本を信じ込んでいた少年は、本の内容や偉い人のいう事でもそのまま信じてはいけないんだなという教訓を得たわけです。


 その後、TRPGのシナリオとして、プレイヤーを惑わせる嘘つき妖精コティンを何度か出した事があります。

 一度はプレイヤーから「名前から怪しいとは思ってたけど、やっぱりか!」という反応をもらったことがあるので、やはりそこそこ有名な話なのだなぁと。

 小説としても、いつかどこかで出してやりたいなと思ってます。

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