第234話 何のために学ぶかー創作論

 ネットニュースのタイトルをザッピングしていたとき、やんごとなき方の進学先に関しての記事があったので目を通してみました。

 将来の職業に選択肢が無い方なので、大学ぐらい好きに選ばせてあげなよとも思うのですけれど、結構あれこれ言いたい方が多いようで。

 東大に受かるぐらいまで偏差値が伸びるか? 伸びないようなら早稲田や慶応に……みたいな事が書いてあって、選択肢のある方は良いなぁなんてちょっとうらやましく感じてみたり。

 私の場合、大学受験の時は私立を一切受けていないのですよね。


「私立は受けなくていいよね」

 学校から帰り、いつものように自室に引っ込もうと階段を上りかけたところで、母からそう切り出されたことを未だに覚えています。

 当時既に理系に行くことと、国公立の第一志望は決めていました。

 理系大学は私立だとものすごく学費が高いので、仮に合格しても通わせられない。

 合格しても通わないのだから、受験料や入学金払うのも無駄。


 そんな理屈を述べる母の言葉を聞きつつ、私の方にも計算はありました。

 私の第一志望は、テストが独特なスタイルなのです。

 もし、滑り止めに私立を受けるとなったら、私立向けに一般的なテストに合わせた勉強もしないといけません。行く気も無いのに!


 かくして、親子の利害は一致し、「うん、いいよー」と軽く答えてその場は終わりました。

 国公立のみのほぼ一発勝負というのは後にそこそこプレッシャーになっていたのですが、受かったので結果オーライ。


 私が特に気にしていたのは苦手な英語。

 普通の英語の試験って、単語の意味を聞いてみたり、並び替えて文章を作らせたりと色々ありますよね。

 でも、私の第一志望は長文和訳と長文英訳しか出ないのです。

 しかも、長文和訳に使われる英文は教科書的な文章ではなく、問題作成担当の教授が最近読んだんじゃないかなという感じのする論説文系で、時事問題も多め。

 英文としては完全に意味をとれなくても、トピックと文脈からしてこういう事を言いたいんだろと国語力と現代社会知識で推測が効くのです。


 大学に入った後も英語はやはり苦手だったのですけど、一方で英語の論文を読むのができないわけではなく。それどころか、ゲームのために英文を和訳したりもしていました。

 今も英文レポートが必要になる仕事は優先的に回されますし、何より家で妻と英語メインで会話しているわけで。

 つまり、私は英語で何かするのはいいけど、単に英語だけ勉強するのはダメなタイプなのですね。


 創作でも、色んな方の創作論で「こういう鍛え方をすべきだ」的なのが書いてある事があるのですけど、自分の書きたいものとは別に鍛えるために書く、というのは何か目的を見失いがちな気がします。

 それ自体を楽しめるなら良いのですけれど……

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