第231話 殺される王ーストーリー
民主主義のいい所は殺さなくても王を取り換えられるところだ、なんて皮肉があります。
逆に言うと、かつて王は殺されるものだったのです。
フランス革命とかではなく、キリスト教以前の原始宗教の時代の話ですが。
それを研究してまとめたのがジェームズ・フレイザーの『金枝篇』。
詳しい話は各自読んでいただくとして、ものすごく簡略化してしまうと、
『穀物霊の化身である王様は、力衰えたなら儀式にのっとった方法で若く力ある挑戦者に殺されないといけない』のです。
穀物が冬が来たら枯れ、春に新たに芽吹くように、王もまた衰えれば殺され、挑戦者が新しい王となって力を継ぐのです。
王が力を継承せずに死んでしまったならば、穀物霊も死んでしまい、今後の収穫がなくなることに……
その儀式に使われるのが金枝=ヤドリギなので金枝篇というタイトルなのですね。
挑戦者はまずヤドリギを手に入れ、王に挑戦するのがならわし。
で、王を殺そうとすると言えば『走れメロス』かなということでざっとプロットを組んでみました。
メロスは激怒した直後、謎の人物からヤドリギを渡される。
王宮に行きヤドリギを見せると、あっさりと王のもとに通されて挑戦者として扱われる。
初老の王ディオニスを打ち倒すメロス。その直後から、新たな王として扱われるようになる。
なお、謎の人物は前の王からの側近であり、新たな王メロスにも仕えて的確な助言をする。
王になったメロスはそれなりに善政をしく。この時代に妹の結婚もさせる。
しかし、不作の年に新たな王を求める声が上がる。この時は、挑戦者を返り討ちにして生存。
ここでようやく、メロスは王=穀物霊の化身であり、力が衰えれば殺されることが前提であることを理解する。
以降は、農業政策に力を入れるも周りを信じられなくなり、自らが激怒した前の王ディオニスに近づいていく。
諫めた義弟(妹の夫)も殺害。
完全に暴君となった老メロスの前に、ヤドリギを持ったセリヌンティウスが現れる。
挑戦者セリヌンティウスによって、メロスは殺害される。
新王セリヌンティウスは1年後に挑戦者としてメロスの甥を迎える。
死を選ぶセリヌンティウスは、決闘の前に謎の人物に解雇を宣言。
謎の人物はそれを素直に受け入れる。
これで、王が穀物霊の化身として殺される時代が終わる。
……あんまりメロス使う意味がないかなぁ。
もう少し練り込まないといけない気がします。
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