第221話 あなたでない魂ー世界設定
娘のオモチャとして、妻がゴム風船に水を入れてボール代わりにしたものを作っていたのです。
そのうち壊れそうだなぁと懸念していたのですが、先日妻が握った時についに割れまして。
「ごめーん」
「いいよ。どんなものもいつかは壊れるしね」
「私たちの愛も?」
……そういうこと聞くなよぅ。
壊すつもりはさらさらありませんが、自分の死後とか事故で記憶を失ったらとか考えると、絶対壊れないと断言するのも出来ないよねと考えてしまうタイプなのです。
頭を打って記憶がなくなったり性格が変わるという例は現実にもありますし、創作でもしばしばネタにされますね。
では、そうした人が亡くなって魂になった場合、どうなるのだろうと。
記憶がなくなっていただけなら、魂になった後は思い出せる、で特に問題はなさそうです。
でも、性格の方は?
例えば、若いころは乱暴者だったが、ある時頭に大けがしてから穏やかな性格に変わり、皆に愛されながら老いて亡くなった男がいたとしましょう。
霊になった彼は、亡くなったときの穏やかな性格なのか、脳へのダメージの影響から脱して乱暴者の性格なのか。
これだけで一つの小説のフックになると思うのですね。
亡くなった親しい人の霊を呼び出してみたら、まるで性格が違ってて……的な感じ。
さらに考えを押し進めると、脳へのダメージで記憶がなくなったり性格が変わったりするということは、記憶や性格は魂には記録されていないと考えられます。
つまり、人格と魂は無縁。「魂なんてない。人は死ねばそれまでだ」とする人たちの思考に近いですね。
しかし、それでも魂はあるのだとしたら。
「魂は皆が持っている。あなたの中にも魂はあります。しかし、魂はあなたの記憶を共有しないし、あなたと同じようにも考えない」
自分ではない何かが、自分の中にいて、自分が死ぬと動き出す。……ホラーですよ、これは。
そんなことを考えて書いたホラーが一本あるのですが、かなり実験的な書き方を試したのがマズく、あまり受けが良くなかったんですよね。
どう修正するのが良いかを考えるところから始めないといけないので、リメイク優先順位としてはかなり後の方。
ちなみに、人間が死後どうなるのかについては興味深い実験があります。
ある人物が、亡くなる前に「死後の世界があったら、必ず連絡する」とその人物の奥さんに約束し、連絡用の暗号まで決めていたのですね。
結局、やってきたのは詐欺師だけで、本物の霊からの連絡は無かったそうですが。
だからといって死後の世界が無いという事ではなく、単にその人物が連絡する手段を見つけられなかっただけ、とも考えられます。
しかし、そうだとすると、普通の人間が死後の世界から現世に連絡する方法を見つけることは絶望的でしょう。
実験をした人物は『脱出王』と呼ばれた奇術師、ハリー・フーディーニなんですから。
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