第220話 キャリアーガジェット

 うちの夫婦はどちらも一応料理が出来ますが、基本は妻が作ってくれてます。

 レパートリーを増やすことにも熱心で、レストランしてる従姉弟に聞いたり、フェイスブックでおいしそうな料理を調べたり。

 何故か「レシピ見つけたから、調理よろしく!」でこっちに飛んでくることもありますが、それもご愛敬。


 そんな妻が、ある日

「卵かけチーズご飯を作りたいの」

 と言い出しました。

 タイは生卵を食べる文化はありません。

 妻も日本では生卵を食べられることは理解してるけど、特に食べてみようとは思わない様子。

 自分が食べないのに、たまたまつけたTVでやっていておいしそうだったから、私のために作ってくれるということで。

 実際に作ってもらったところ、チーズと卵だけでなく色々具も載っていて、実に美味しくいただきました。


 なお、生卵を食べる文化はタイだけでなく世界の多くの国にもありません。映画の『ロッキー』撮影時にスタローンが生卵を飲むシーンの特別ギャラを要求して通ったというのも有名なお話。

 ただ、日本以外に生卵を食べる国が無いわけではなく。

 調べてみるとフランス、チリ、ポーランド、韓国、台湾は生卵を使う料理があります。

 フランスはメレンゲとかミルクセーキとか

 ポーランドはタルタルステーキ

 韓国はユッケ

 台湾ではかき氷に使うそうで。

 チリはちょっとわかりませんでした。


 なお、タイでも「生で食べられる卵」は入手できます。

 外国人向けのスーパーマーケットに売られてて、普通の卵よりはお高くなっています。

 サルモネラ菌対策に特別な衛生管理をしてるので、当然ですね。


 外国に行った時につい卵かけご飯が食べたくなっても、ちゃんと特別な管理をされている卵かどうかを確かめてからやるようにしてください。

 日本だと、その「特別な衛生管理」が標準になっているので、冷蔵庫保管して消費期限内ならまず大丈夫です。


 ところで、食中毒を起こすサルモネラ菌は、実はチフス菌の仲間だそうです。

 チフス菌は患者が元気になった後も菌だけ排出される、場合によってはそもそも具合が悪くならず、本人は何ともないまま周りに菌をばらまいてしまうという事があります。

 有名なところだと、20世紀のアメリカであった「腸チフスのメアリー」といわれる事例。

 メアリー本人には症状が無いまま、あちこちの家で料理人として雇われ、そのたびに腸チフス流行を引き起こしてしまったという悲劇です。


 現実だと、こうした細菌を兵器として敵陣営を攻撃というのはあまり合理的ではなかったりします。

 国際的批判もあるし、そもそも大成功してしまうと自分の陣営にまでまん延してしまったりとかも危惧されますし。

 異世界ファンタジーなら、自分の種族には効かない細菌を使うなんて手はあるかもしれないですね。

 一旦感染後回復させた捕虜を解放して……かなり嫌らしい手になってくるので、作品のカラーを考えないと使いにくいですが。

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