第205話 改名文化ー世界設定

 クルンテープ・マハーナコーン・アモーンラッタナコーシン・マヒンタラーユッタヤー・マハーディロック・ポップ・ノッパラット・ラーチャタニーブリーロム・ウドムラーチャニウェートマハーサターン・アモーンピマーン・アワターンサティット・サッカタッティヤウィサヌカムプラシット


 いきなり謎の呪文から始まりましたが、これはタイの首都バンコクの旧正式名称です。

 旧、とついているのは、2022年に法改正で正式名称を『クルンテープ・マハーナコーン』まで縮めたからですね。旧名称はタイ人でも覚えきれない人が少なくなかったと言いますし、妥当な改正かと。

 もっとも、普通は皆クルンテープとしか言ってなかったので特に影響は無いでしょう。


 本名は長く、普段使いの名は短く、というのは人名でも同じ。

 タイ人の本名も長い傾向があります。

 歴史的経緯が色々あって、タイの人名だけで日本語版Wikipediaに単独記事が立つぐらいなんですが、

 基本的には「長い方が貴族っぽくていい」という文化的な意識があります。


 しかし、長いと普段の生活では不便。ということで親が生まれた時点であだ名をつけています。

 ただ、このあだ名も日本の感覚とはかなり違っていて、本名とはまるで関係ないのですね。

 動物とか食べ物とかの単語を使っている事が多く、ムー(豚)さん、ノック(鳥)さん、ヌー(ネズミ)さんとか。他にも食べ物や色だったり。

 別にタイ語である必要も無いので、英単語でミントさんとかボスさんとかもあり。

 あだ名だから自由に変えられるので、『君の名は』が流行ったころには知り合いの奥さんが「私、今日からミツハだから」なんて言ってました。いつの間にか元のあだ名に戻ってましたが(笑)


 ちなみに、タイだと本名を変えるのもあまり難しくなかったりします。

 最近運気が悪いから占ってもらって改名なんて話も聞きますし、

 私がタイで働いていた時も「一時出家したあと還俗して会社に戻ってきたときに名前もあだ名を変えました」なんて同僚がおりました。


 異世界ファンタジーでもSFでも、そういう文化のキャラクターがいても面白いかもしれないですね。

「ジェイク、久しぶりー」

「あー、ごめん。ジェイクは二つ前の名前なんだ。今はヒューワード」

 みたいなやり取りとか。

 あるいは、名前が本質を表すという思想を逆手に取り、転職した時に改名して新たな仕事への加護をえる、とかでもいいかもです。

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