第176話 神様の殺し方ー世界設定
かつて、雷は神の御業でした。
雷を扱うギリシャ神話のゼウス、北欧神話のトールはそれぞれの神話でトップクラス。聖書の神ヤハウェも雷を天罰として使う天候神だったとされます。
しかし、現代に生きる我々は、雷が放電現象にすぎない事を知っています。
なぜなら、ベンジャミン・フランクリンが凧にライデン瓶を繋げて雷が電気であることを確かめてくれたからです。
この実験、本人はちゃんと安全確保したつもりだったそうですが、現代の視点で見るとほぼほぼ自殺行為なので最近はあまり教科書とかにも書かれなくなっていてちょっと可哀想ですが。
なお、ベンジャミン・フランクリンはこの実験の後に政治家としてアメリカ独立宣言の起草委員になっていたりもするので、もし実験で感電死していたら歴史が変わっていたかも?
いずれにせよ、フランクリンによって雷は神から取り上げられ、物理学に落とし込まれたのです。今も「××に関しては科学では分かっていないから神の御業に違いない」なんて主張をする人々はいるのですが、それが現時点しか見ていない事だという実例の一つですね。
科学では分かっていない事を神の領域だとする考え方はGod of the gaps、隙間の神と呼ばれるのですが、科学が発展するほどに出来ることが減っていくちょっと可哀想な神様です。
創作的には、神様は本当にすごい力を持っている事が多いのですが、それを奪っていく者がいる世界もアリなのかなと思います。
しかし、神から力を奪ってどうするのか、が問題ですね。
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