第157話 妖精の歌ーストーリー
月曜日が来ると思い出す話があります。
「永遠と一日だけ」と同じく岩波文庫のイングランド民話集で読んだお話。
分類するなら『花咲か爺さん』や『こぶとり爺さん』「隣の爺型民話」の一種。
つまり、まず良いおじいさんが良いことをして良い結果を得る。
それを知った悪いおじいさんが真似をするけど、やり方がマズいので悪い結果を得るというタイプのお話。
その話での主題は歌なのですね。
妖精たちが宴を開き、
♪月曜火曜、月曜火曜、月曜火曜
ちょっと間があって
♪月曜火曜、月曜火曜、月曜火曜
と歌っていたところに出くわした良いおじいさん。
間のところに「お次は水曜」と合いの手を入れたところ、妖精たちにバカ受け。
宴に誘われ、たっぷりお土産ももらって帰ります。
それを聞いた悪いおじいさん、
♪月曜火曜、月曜火曜、月曜火曜、お次は水曜
とご機嫌に歌っている妖精たちのところに行って、「お次は木曜」「お次は金曜」と曲の節も考えずに付け足します。
水曜1つを足しただけであれだけお土産がもらえるなら、2つ足せばもっともらえるだろうという思考。
しかし、曲のリズムを乱されたブチ切れた妖精たちに酷い目にあわされましたとさ、というお話。
しかし、逆に考えると曲のリズムを乱さずに付け足せれば、悪いおじいさんもお土産をもらえたのではないかな、と考えられます。なにせ、一週間はまだ四日も残ってるのですから。
♪月曜火曜、月曜火曜、月曜火曜、お次は水曜
木曜金曜、土曜に日曜、ぐるっと回ってまた月曜!
なんてどうでしょう。
え、英語じゃないとダメ?
あるいは、水曜日で止めるべき、つまり木曜日が来てはいけない何かの理由があった、のでしょうか。
木曜日は言語にもよりますが、ローマ神話のユピテル=ギリシャ神話のゼウスや北欧神話のトールの名をとっていることが多い日。いずれも雷を操り巨人を打倒した強力な神です。
打倒され、力を失った巨人たちの末裔が妖精となっていたとすれば、木曜日を口にすること自体が彼らの逆鱗に触れる行為なのかもしれません。
巨人殺しの神に会うことを避けるために月曜日と火曜日しかこの世界に存在しないことにしていた妖精たちが、良い爺さんによる歌詞の追加を受けて水曜日も活動できるようになった……なんて話もありなのかも。
まあ、現代日本人にとっては木曜よりも月曜日の方がよほど憂鬱なのですけどね(笑)
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