第142話 冥王妃様はザマァしたいーストーリー

 ご当地怪談自主企画向けの『欠けた鳥居の話』でサラッとヨモツヘグイのネタを入れてみたわけです。が、ちょっと上手く書ききれなかったかなと反省中。


 死者の国の食べ物を食べると、生者の国には戻れない、という思想は日本の記紀神話でイザナミがやり、ギリシャ神話でもペルセポネが不完全な形でやり、と人類の普遍的な考え方と思われます。

 同じ釜の飯を食った仲、なんて言葉もある意味近いのかも。強制力が全然違いますが。


 逆に考えれば、死んでも死者の国の食べ物を食べていない間は生き返るチャンスありって事? もちろん、助けに来てくれる人はいるのが前提になってきますが。


 そういう思考でザッと本編に入る前の設定を組んでみました。


 主人公は勇者の幼馴染で婚約者かつパーティーメンバー。

 魔王を倒したら結婚しようね、と言っていたのだけれど、旅の途中で勇者を庇って戦死。

 死者の国で目覚めた彼女だが、勝算があった。魔王を倒す旅の途中、死者の国に繋がる道を見つけていたのだ。

 しかも、かつてその道を使って妻を迎えに行ったという人の話を聞き、死者の国の食べ物を食べていなければ生者の国に戻ることができるという事も知っている。

 つまり、彼女が死者の国の食べ物を食べずに待っていれば、勇者が助けに来てくれて生き返る事が出来るはず。


 既に死んでいるので、食べなくても死なないが、飢えの辛さはずっと感じ続ける。それでも断食を続ける彼女は死者の国中の噂になった。

 噂を聞いた冥王が説得に来て、ついには妻にならないかとまで言われたが、勇者を信じる彼女は拒否。


 そんなある日、彼女は死者の国にいるはずのない人物と出会う。すなわち……

「何で魔王がここにいるのよ!」

「え、勇者に倒されたからだけど……」

 聞けば、彼女の戦死後、勇者はすぐに新たな仲間を得て魔王討伐に成功。国王に気に入られ、姫と結婚して逆玉ルートを邁進中。


 これにブチ切れた彼女は、冥王からのプロポーズを受けて冥王妃となり、死んだ魔王とその軍団を配下として勇者に復讐する事を誓うのだった……


 これで『嫁入りからのセカンドライフ』コンテストに……書かないし、出さないですけどね。明るく前向きな、とか募集要項に書いてあるのに、暗く後ろ向きな復讐譚じゃカテエラですし。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る