第139話 金継ぎーガジェット
金継ぎというのは陶器の修復手法です。私が知ったのは細野不二彦の『ギャラリーフェイク』だったはず。……手元に無いので確認できないのですが。
簡単に言えば、陶器の壊れた部分の欠片を漆で繋いで、その漆を金粉で色づけるというもの。
修理といえば全く元通りになるのが良いかのように思われがちですが、金継ぎはあえて直した跡を見せていくスタイル。
元は中国製の青磁茶碗。足利義政が所有していたのだが、ひび割れがあるのがちょっと残念。ということで一旦中国にこれを送り返し、「これと同レベルの別の茶碗をもらえませんか」とお願いした。
しかし、当時の中国ではもうそのレベルの青磁が作れなかった。青磁の最盛期は南宋の頃で、その茶碗はそのころの作品。しかし足利義政の時代はそれから元→明と王朝が移り変わった後のこと。
よってこれで我慢してねと同じ茶碗にかすがいを使ってひびを補強して返してきたのです。
でも、これはこれでオシャレじゃん、とかすがいを馬の背に乗ったイナゴに見立てて馬蝗絆と名付けて珍重したと。
ここから派生して、一度壊れた痕跡すら愛でるというわびさびの流れに乗って作られた技法ですね。
ただ直すのではなく、直した跡を見せ、それが美点にすらなりうるという意味で、精神的に勇気づけられるものもあります。
モノづくりと言えばドワーフということで、金継ぎが得意なドワーフ氏族を設定しようとしたこともありました。
でもその時は、色々設定いじっているうちに修理全般が仕事になり、金継ぎの精神性はちょっとおろそかになってしまったのでちょっと悔いが残るところ。
もう少し金継ぎに専門化した設定を組みなおしたいところです。
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